【12月】『失踪・疾走編』1.張り切って参りましょう【青】 ページ43
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Aちゃんから、電話があった。
一週間後のヘアアレンジの依頼やった。
その日はクリスマス。
今年は土曜日で、なかなか恵まれた日。
予約は多いけど、Aちゃんの頼みや。
「ばっちばちに決めたってください」
「デートやんな」
入ってくるなり、男前な目で
やたらキリッとした要望を伝えるAちゃん。
覚悟が決まったのか、何かに気付いたのか、
いつもよりしっかりしたメイク。
コーデを褒めると、翠ちゃんとの買い物で
見繕ってもらったんですと恥ずかしそうにした。
確かにいつもより可愛い印象で
すこしあざとい、
『普通の子』のコスプレにみたいに見える。
それを着るくらい、その人が好きなんやなあ。
「はい。3回目、で。
2回目から結構空いてしまったんです。
どこも年末は忙しいやないですか。
ウチも見事にしっかりと。」
「せやなあ。でも3回目、勝負やなあ」
「毎日会っていると言えば会っているのですが」
「それとは、ね？
ちゃうやんか、二人きりって言うのは」
「ご飯とかは行ってるんですけど」
「ええねえ、今日クリスマスやもんなあ」
「章ちゃんも、すばるくんとどっか行くん？」
「ええ？別にないよー。
二人でゆっくりしようとは思うてるけど」
「そっか」
「もう長いのもあるし。
自分らみたく不安定なポジションとちゃうから」
「余裕やん」
「まあね」
鏡越しにAちゃんと眼を合わせて笑った。
言葉にすればなんだか面白かった。
「でも、不思議で。
この4月からずっと、仕事上でも
二人でやってきたのに
夏から急に気になって
なんだか心が、複雑な動き方になって。
確信出来へんことが、こんなに辛いなんて思わへんかった。
それに、確信出来へん自分が嫌」
そう言ったAちゃん。
それを思う言う事が、全部の始まり。
僕のほうが嬉しいような気持ちになった。
「それこそ、恋やな」
「みんなそーなんかなあ」
「せやで？
みんな、もやもやして色々考えて失敗して、
探してんねんな、ひとりを」
「うん。」
意識したらその瞬間、僕らは
もう片思いに正式加盟させられている。
相手はどうなのか、自分はどないするのか。
思案と決断の連続で人は疲れる。
叶えば報われるし、叶わなかったら哀しい。
こんなことみんなやってるなんて凄いですねえと
Aちゃんは困り眉で、くっと笑った。
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ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
