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けろっと、そんなことを言ってのけた錦戸くんに
村上さんは、一気に耳まで赤くなって
湯気が出るほど早口になった。
「いやいや、横山主任が
私なんかと出掛けるなんて、そんなこと
あるわけないやないですか、
そもそも、そんなおこがましくて
むしろ嫌というか、辛いというか
幸せがキャパオーバーして残金ゼロで死にます。
待って死ぬのは横山主任かもです
私の運転なんて、よくもまあ
今まで死人が出てないのが
不思議なくらいの、酷い代物なんです。
主任を死なせでもしたら
私この世の全てに謝罪して回る、
行脚の旅に出なくちゃ行けなくなります
しかもその旅は歩きですよ、
車使えへんですもん
まずまずの話、主任がこんな
地獄みたいな人間と、二人きりになんて
なりたいわけないやないですか
それこそ天変地異です」
「なんで主任も赤くなるんすか」
そりゃ…恥ずかしいて。
この4か月強、こんな押せ押せの(妙な)褒め言葉を、浴び続けていたら誰やって毎回恥ずかしい。
「ほんまに行けばいいんとちゃいますかあ」
ひらひらと手を振り、錦戸くんは去っていく。
頼む、種を撒いたら回収してってくれ……。
赤い二人でどないすればええねん。
「すみません、」
「いや、ええねん」
よくないわ、全然良くないわこの空気
「今の会話内容は、全て脳内から抹殺しておいてください。
よろしくお願いします。
あ、おはようございます丸山さん。
では今日は、本社で例の会議ですので、終了後直帰致します。
あ、決して社用車は運転いたしませんので、ご安心ください。
丸山さん、ホワイトボードの名前の磁石…
ありがとうございます、じゃあ、行ってきます。
丸山さん、参りましょう、鍵そこです」
嵐の如しである。
別に行ってもええけど、あの子と二人きりになったら、さらに褒めちぎられそうで、怖すぎる。
何がそんなに、そんなことになってんのか、検討も付かへん。
褒めるなら、錦戸くんみたいな皆が認める野郎にしてくれ。
最近、村上さんが褒めるからか知らんけど、女子社員からの視線が、少し値踏みする方へ変わってきてる気さえする。
嬉しくないと言えば嘘になるけど、慣れてへんことを、押し付けられてる俺の辛さも分かってほしい。
仕事は出来るのに、愛情表現(？)が特殊すぎる。
………惜しいと言うかなんと言うか…。
俺が週末、ほんまにドライブに出掛けることに決まるのはこの3日後の話である。
3.デートを巡る骨肉の争いの記録【橙】→←2.アクロバティックでごめんなさい！【黒】
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ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
