【9月】『独りよがりは承知』編 1.クルマ練習せえ【紫】 ページ16
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.クルマ練習せえ【紫】
「A、」
「なに」
炊き込みご飯をおかわりしようとしたAは、炊飯器の前に立ったまま、顔を向けた。
「クルマ練習せえ」
「嫌」
「嫌やあらへんねん」
「ほんまに嫌」
「免許取ったの何年前や」
「高3の春休み」
「え、7年前？」
「8年目」
「もう運転でけへんやろ、むしろ返納や」
「出来るって」
「なら練習や」
「信ちゃん助手席に乗って運転すんの？
私絶対無理」
「休日返上で付き合うたるて」
「嫌や、ほんまに怖いし。
そりゃ信ちゃんは得意やろうけど」
「怖いってなんやねん」
「怖いよ」
たつが目を伏せて、口を挟む。
いや怖ないやろ。教えたっただけやんか。
「大学に入る前に、そうやって死ぬほどドライブ連れ出してAちゃんノイローゼにさしたん、信ちゃんやろ」
味噌汁をかき混ぜながら、二人は顔を見合わせ「ねえ」と頷きあった。
「せやったら、毎日自分で運転して会社行ったらええやん」
「ええ、」
「それやったら、一人やしええんと違う？」
「忠兄！」
「俺の車、使ってええよ」
「忠兄！！」
「よかったな、たつの車使えて」
「信ちゃん！！！」
「練習せんと鈍るのは、ほんまやしな」
「忠兄！！！！！
私の味方と違うん？？！」
「俺はどっちかって言うと信ちゃん寄りやもん」
知ってたけど、とAはしょぼんとした。
Aやって不動産屋なんやし、そろそろ慣れさせないと。
「明日から、な」
「……分かった」
炊き込みご飯を(睨みながら)もそもそ食べるA。
箸を置くと、しばしの沈黙ののち、あからさまなふくれっ面を見せた。
「……ごちそうさま。もう、上行く」
「Aちゃん、もう一杯食べへんの？」
「明日朝、運転しないとあかんのではよ寝ます」
「「ああ、おやすみ…」」
「たつ、あれは…」
「恨んでるな」
「恨んでるよな」
「俺が、信ちゃんの味方したからやろ」
「せやな」
「しゃーないやん、昔っから信ちゃん側やもん」
「……そう言われればそうやな」
「…せやで」
明日から妹は車通勤。
どうか、交通関係のこう、なんかいい感じの神様。
妹をどうか事故らせないでください。
あのクルマは俺の名義で買うてます。
よろしゅうお願い致します。
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ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
