【8月】『真夏の暑さは罪・罪・罪』編 1.エアコンから始まる私的な話 ページ1
.
.1.エアコンから始まる私的な話。
死亡である。
我が家の命綱、エアコンが突然、冷たい空気を吐き出すことをやめてしまった………。
地球温暖化の進む昨今の日本で、エアコン無しの部屋に暮らすことなど自傷行為、いや、飛んで火にいる夏の虫、と言う所であろう。
死ぬな、心の恋人よ。
我々は冬も夏も、共にあったではないか。
しかし、骸と化した白い塊は何も答えることなく、壁に張り付き、沈黙したままだった。
………一人暮らしを初めて7年目。
大学生時代から更新を続けてきた自由の棲家ではあるが、ここは大人しく、実家に帰ることにする。
そもそも職場は実家から通ったほうが、圧倒的に近い。
業者に電話をしてみても「混んでいる」の一点張り。
それならば、今修理の依頼を出さず、秋口にでもゆっくり修理してもらってそれまでは、実家で面倒を見てもらうこととしよう。
実家には兄二人が暮らしている。
久々に連絡すると、上の兄にマシンガントークでまくし立てられる。
調子はどうか、風邪は引いていないか、自炊しているか、仕事は順調か、などこちらに口を挟む猶予を全く与えない。
それでも、なんとか状況を説明すると帰宅許可が下りた。
電話に出た方の兄は、家族全員に初めての子どもとして、大変に可愛がられた長男である。
みんな幼少期の癖が抜けないまま、信ちゃん、と呼ばれ続けている。
熱血漢で涙もろく、多少面倒くさいのだが、現在ではそこを活かし、中学校の体育教員をしている。
その信ちゃんに、何だかんだ甘やかされているのが家事担当、次男の忠兄である。
普段は信ちゃんの扶養家族として甲斐甲斐しく、脱ぎっぱなしの靴下に小言を言っている。
また、事務所に入ってモデル活動なんかもしているらしい。
信ちゃんはそれが嬉しいらしく、雑誌やカタログなどに登場すると聞けば熱心に集めて悦に入っている。
こんな具合で、兄たちは互いに甘い。
しかし、私も同様かと聞かれればそうではない。
私は二人から大切にはされているのだろうが、甘やかされている訳でなく、どちらかといえば、面白がられている。
二人とは違い、私は真面目にしっかり(空回りしながら)生きてきたのであるが、どうもそこが、可笑しく見えているようだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
