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「これは有名な話で映画のシーンのやつやねんな。
両想いやったーって分かった場面でして、それが……初めてやねん」
「そのことを今でも考えちゃうんと違う？」
「そこそこね。」
「女のそこそこは結構なの、うち知ってんねん」
「……でもそん時マジマジのマジで思春期やし。
でも今でもな、おーくらさんの感じ見てると、この人ええ旦那さんになるなあとか、ええお父さんになるなあとか、思うねんな」
「分かるで、家庭ってやつへのヨクボー」
「……もしかして、渇望？」
「欲望じゃなかったわ」
「まあ、おーくらさんはそれなりに色々浮名も流しとるし笑、あれやけどね」
「そんなの関係あらへんわ。
あんな、Aちゃんとちゃうくて、皆色々流しとるの。
うちやって、今のハイパーチャーミング彼氏と巡り合うまでは、色々流しとんのやで？
流したもん数えるのはアホのすることやわ」
「……なんも流しとらんのは、変やんな？」
「それを有難がる奴もおるけど、お子ちゃまや」
「……いっぱい捨ててきてもうたな」
急に哀しくなる。
青春やら女の子というものやらを捨ててきたことが、急に冷たくひやりと頬に付けられた気がする。
それは応援してくれる人の為、…エイトの為。
自分の為になんか、なるわけないのは、ずっと分かってたのに。
考えないように、してたんだと思う。
だって幸せだった。
もう、随分遠くきてしまった。
ただの田舎者だったのに、今じゃ東京で仕事して、私の名前を皆が知っていて、ニセモノを演じるたびに、人とお金が動いてみせる。
「ちょっとネガらないでえな！
拾いたいなら拾えばええやん！
自分、したいように出来んねやで！」
今はミナが羨ましい。
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月11日 16時
