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演出家さんの一声で初日から立ち稽古。
まずはニコル(Aちゃん)が美術品の贋作家であるパパに模倣品を作ることを、辞めるように迫るシーンから。
……いや、物凄い、違和感やわ…。
いつものシュッとした顔で、いつもの格好ええ服で、愛するパパを心配するうちの宮野さん……。
きゃぴきゃぴ、してる。
イケメンのまま…。
しかも一応これは稽古着に着替えてるのに、それなん？
とりあえず、僕のシーンまでは行かずに今日は終わりになって、やっと僕はAちゃんに声を掛けた。
「お疲れ様〜Aちゃん」
「丸ちゃんのとこまで行かんかったな」
「せやな。……あのさ、そういう感じ？」
「なんのこと？」
「いやこの間言うとったやん、解禁するわ〜って。
…やからそういうんと違うんかなあって」
「あ〜、あんな、急ハンドル切る勇気なかってん。」
「あ〜……」
「恥ずかしくて。
でもずっとそうは言ってられんやんか。
舞台って映像とちゃうくて稽古期間があるから、演技しとらん時も見られてるし、何回もやらんといけんし、腹括らんとあかんのは、分かってねんけど…」
可愛ええな。
別に解禁なんかせんでもええのに。
そこまで思って、それは隠しておく。
「お稽古スカートも買ってん、知り合いのジェンヌに聞いて。
やっぱり本番に近い形でやらんとあかんやんな」
そこまで言うとAちゃんは、ため息と共に大きく伸びをした。
「丸ちゃん、マネのカノちゃんがな、車回してくれてるらしいから一緒に夜食べへん？
あ、もちろん丸ちゃんの奢りやで。
私が関西弁出えへんように台本指導したるから、講義代で！」
Aちゃんは僕の両肩を掴んで「ええやろ？」と笑った。
この子のことだ、どーせ僕のことが心配やったんやろうけど、こうやって特技の甘えたを同時に発動させて、分からんくしてしまう。
時間的には早めの夜ご飯を食べて(割と厳しめな指導もしっかりされ)家に帰ると、宮野君から電話が合った。
宮野君とはAちゃんのお兄ちゃんである。
オーディションに落ちて妹がジャニーズになってしまった、例の宮野君。
そんな彼と僕は仲良うしてて。
舞台よろしゅうお願いします、とわざわざ電話をくれた。
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��甘えん坊も考えもんだ【橙】→←��俺の好みのYouとYou【橙】
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月11日 16時
