ep.17 ページ18
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僕はあの日以来始めて、EIGHTに向かった。
ルカさんが事件以降休業していて、セーラさんもまた歌手業を同じく休んでいるから。
………セーラさんに会いたかった。
例え、美しい歌を歌う優雅な彼女が、スーツに身を包み、その手を夜毎に血で染めているとしても僕にとってそれは大きな問題やなかった。
確かに、衝撃ではあった。
でもそれで消える思いでもなくて。
人波をかき分けて、金髪のその人を見つけた。
僕の視線はセーラさんにぶつかり、振り向いたその綺麗な横顔を美しく照らす。
「どうして」
「来たらあかんかったですか」
「そんなことないけど」
「よかった」
「……何で来たん」
「もう、歌わないんですか。それ、聞きたくて」
「ルカさん、あれから休んでるやろ。
バーは無くなってもうたから、アレやけど、レストランの方も。
私、あの人のピアノやないとあかんねん。
歌われへん。やからや」
「そう、ですか」
「そう。……もう帰り」
「いや、あの、もう一つ」
僕は引き下がり、セーラさんは場所を変えようと、バーの裏口に出た。
「僕、ルカさんとセーラさんのお話聞かせてもらって、一個言わんといけないことがあって」
「ん？」
「僕も、元々施設育ちなんです。
両親は僕を引き取ってくれた養父母で、セーラさんと同じように双子やったって聞いてます」
「そうやったん……」
「はい…。
でもほんまに赤ちゃんの頃に養子になったんで、何にも覚えてないんですけど」
「ちょっと待って…。」
「はい」
「ずっと思うてたけど、関西弁やんな」
「はい、大阪の✕✕言う施設でした。
ずっと関西に住んでたんですけど、大学進学でこっちに来て」
「………もしかして、いや、まさか」
「やから僕、セーラさんに、なんやろ、シンパシー言うか……」
「ダイキの方が、」
「……え？」
「ダイキが、理緒の……」
そこまで言うと、セーラさんは僕の顔を見たまま座り込んだ。
「大丈夫ですか！」
「確証なんかないけど、でも、」
「なんのことですか」
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年8月22日 11時
