こっちの「僕」の話【緑】 ページ8
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「私は、え？ 横山くんが好きなん？」
「せやで」
「………ええ、ほんまに？」
「まさかこんな言葉を聞く日が来るとはな」
「いや、ホントにもう全部薄らぼやけててん。
倒れた時に頭でも打ったんかな」
ははは、と虚ろな眼で笑ってみる。
大倉くんは、大して気に留めていないような顔で続ける。
普段からこんな不安定やったんか、僕。
「ある種キャラやけどね。
テレビでも、うーん、何ていうんかな、
尊敬してます〜眼ぇきらきら〜みたいな。
全肯定してん、いつも。
結婚するならとか付き合うならとか、そういう鉄板取材も、大体横山くんやな。
まああっちもあっちでAちゃん大事にしてるし」
僕は性格が悪い。
元々かなり悪かった。
でもそれを表には出さず、ぼーっとしているフリをしていた。
でもこっちの僕は、自己顕示欲の強い感じの性格の悪さや。
僕のことやし、テレビ用に営業用に、最年長を好き好き言うとけば、色々壊れへんとか何とか、値踏んでいたに違いない。
「……まあ、いつもの流れって言うか、お約束として、横山くんは全く相手にしてない、って奴で。」
あー、と声が出る。
こっちの僕もこっちの横山くんも頭がいい。
「テレビ」をしっかりやってんねやな。
「その嘘かほんまか分かれへんような、横山くん盾にされて、俺はさ、長年不倫みたいなんに甘んじてんねん」
「不倫と違うやろ、別に誰とも結婚してへんねやから」
「建前上、本妻は横山くんやろ？
そしたら俺、2番さんやん」
なんでそっちが女側なん、と言い返してふと気が付いた。
こっちの僕に感じてた違和感は、これか。
女に生まれた僕の方が、よっぽど男らしい。
偏った、古いジェンダー観に頼るなら、
「フレンドと楽しくやりながらも、交際・結婚はしない僕」
「枕しつつ、一番にはなれない僕」
どっちが男かと言われれば、前者やろうし。
「で、この記憶吹っ飛んでるのはほんま？
それともいつもの冗談？」
そんなことを言われながら腕を肩に回される。
僕は何て返したらいいか分からずに、いつものようにぼーっとしてしまった。
「勝手にこんなんして、怒らへんなんて、やっぱ、Aちゃん、違う人かも知らん」
僕は、心の中で「そうだよ」と返事した。
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みき(プロフ) - お返事ありがとうございます！2もこれから読ませて頂きます！楽しみです！ (2020年8月19日 8時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました。応援を頂いて更に頑張ります！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！私の予想してなかった展開で、この先が楽しみです！ゆうみさんの挑戦、応援してます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました…！これから自分としては少し挑戦なので、コメントも楽しみにしています！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 世利菜さん» コメントありがとうございます！ 読んで頂けて嬉しいです。これからも色々進んでいきますのでまた感想頂けたら嬉しいです！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年5月29日 14時
