僕の斜陽のはじまり ページ41
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撮影が進み、一ヶ月ほど経った。俳優同士の会食。
僕は引くほど飲まされ、ぐらぐらしていた。
初めて組む人ばかりで僕は緊張していたんだと思う。
会話はどんどんプライベートに踏み込んでいった。
以前の女の僕なら巧くかわせたのかもしれないけれど、僕は生来、そういったことが苦手だった。
「星名さんってさ、」
「はい」
「好きなタイプとか、あんの。教えてよ」
「ええ、なんですかねえ」
「はぐらかさないでよ」
「ないですよ、タイプとか。」
嘘だ。僕は自分を認めてくれる人が好きだ。
生きるのが下手な僕を理解し、その腕で抱きしめてくれる人。
「まあ、でも一人だもんね、女の子」
「事務所で、ですか」
「そうそう」
「やっぱり、あるの？」
何を言いたいかはすぐに分かった。
「ないですよお」
「えー嘘お」
「ほんまですって」
「好きになったことならあるでしょ」
この質問が、一番刺さった。
そうや、僕はどうしようもない片思いだけをしていた。
今の幸運は、あの時には考えられへんことやと改めて気づく。
「………いや、ほんま、あの、……ないです」
言い淀んでしまった僕に大倉くんが重ねた。
「Aは俺らなんか、眼中にもないですわあ」
そうやって笑ってくれて、僕のしどろもどろを誤魔化してくれた。
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全然腹減ってるやろ、と大倉くんに誘われて、二人でホテルの部屋で飲み直す。
僕はさっきのおしゃれなお店の、不味いご飯を思い出しながら、コンビニのサラダスパゲッティにフォークを突き刺した。
ぐちゃぐちゃに散らかしたローテーブルのお酒を煽りながら、とりとめもない話で笑う。
……どうして女の僕は、この人を好きになられへんかったんやろう。
この人は僕を好きで、仲間で、寝るくらいには信用してて。
どうして選ばへんかったんやろ。
いや、自分の気持ちすらろくに分かれへん僕が、考えてみても分かることやないな。
はははは、と大声で笑う大倉くんの、神様が気合を入れて創った、彫刻の如きその首や手を見て、ぼうっと思考を諦めた。
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みき(プロフ) - お返事ありがとうございます！2もこれから読ませて頂きます！楽しみです！ (2020年8月19日 8時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました。応援を頂いて更に頑張ります！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！私の予想してなかった展開で、この先が楽しみです！ゆうみさんの挑戦、応援してます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました…！これから自分としては少し挑戦なので、コメントも楽しみにしています！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 世利菜さん» コメントありがとうございます！ 読んで頂けて嬉しいです。これからも色々進んでいきますのでまた感想頂けたら嬉しいです！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年5月29日 14時
