僕の斜陽のはじまり ページ40
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現場に向かうのが憂鬱な理由は、他にもあった。
今回の映画は僕が主演を務めさせていただく。
しかし一人ではない。大倉くんがもう一人の主人公だった。
遥か昔、つまり女の時の僕だけでは主演を張れなかったデビューしたての頃、二人セットでやったドラマがあり、それが今回復活、というのが売りなのだ。
バーターでもなく同事務所から二人、しかも同グループって。
……若手か。
まあ、若手の頃のだから仕方ないんだけど。
裏事情とすれば、このドラマの担当脚本家がこの間、他局で大ヒットを飛ばしたのでそれにあやかりたいというのと、最近になってようやく円盤化したらまあまあ売れた、ということらしい。
どっちにせよ僕は、女の僕時代のことは知らないので、ＤＶＤで確認したくらいにしか知識はないのだが。
まあとにかく、現場に今、私とぐだぐだしている大倉くんが居るというのが問題な訳で。
若手時代のメンバー同士のドラマの続編とか、誰が見たいんやろ、と考えてやめた。
需要しかなかった。
ドラマの内容は、ほぼ探偵バディ物。
台本はコメディ中心だが、演出がなかなか。
言い表しづらいのだが、互いの視線や行動で「ああ、公私共に…なんやなあ」と分かるように作られている。
だから、脚本は覚えてきたけれど、現場で何をやらされるか分かれへん感じが怖い。
「えっとね、前々から話してるけど、今回は二人の関係を、ドラマ版から変化させていきたい、まあ端的に言えば進展させたいと。」
監督は、並んだ私たちの顔を見比べながら「分かるよね」と続けた。
……進展、かあ。
心の中で溜息が出るが、これはこれ、それはそれ。
役の僕は役の大倉くんが大切で、ほんまの僕は章ちゃんが大切。
それでいい。
言い聞かせるように、僕は横の人と同じように頷いた。
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「Aちゃんはえっと、いつまで？」
「ここではとりあえず3日。
で、1日大倉くんメインの撮影になってまたすぐ4日。」
「そっか」
聞く意味も分からない、休憩中の大倉くんの言葉。
熱いコーヒーを啜り、見上げた先の眠そうな目をぼんやり見る。
この目の先に、僕が居るのか。
淀んだ目を隠して笑う僕が。
……そして僕は正しく失敗した。
階段を踏み外すように、崖から落ちるように
真っ逆さまに転がり、僕は…僕は……。
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みき(プロフ) - お返事ありがとうございます！2もこれから読ませて頂きます！楽しみです！ (2020年8月19日 8時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました。応援を頂いて更に頑張ります！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！私の予想してなかった展開で、この先が楽しみです！ゆうみさんの挑戦、応援してます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました…！これから自分としては少し挑戦なので、コメントも楽しみにしています！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 世利菜さん» コメントありがとうございます！ 読んで頂けて嬉しいです。これからも色々進んでいきますのでまた感想頂けたら嬉しいです！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年5月29日 14時
