僕の母 ページ34
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「それで…、お母様が仰った言葉、ずっと忘れられないのね。」
……母さんが家を出ていった日、母さんは涙ぐみながら僕を抱きしめた。
僕は子どもやったけど、その抱擁にどんな意味があるのか、何となく分かっていた。
「A、ごめんね」
「泣かないで、母さん」
「父さんと……仲良くやってね」
「僕は母さんと居りたい」
「無理やのよ。Aが……Aが、男の子やから…」
「なんで、なんで僕が男やからって…」
「……Aは、女の子に生まれたらよかった」
「母さん、行かへんで」
「……じゃあね、A」
あの言葉がまだ耳に残っている。
だからこそ、僕はこの事務所に執着しているんやろう。
「あなたはその得られなかった愛を求め続けてきたのね。
そうやって性別に拘って頑張ってきたのに、恋愛ではそれが壁になったわ。
そうやって絶望してここへやってきた。」
「はい……そのようで」
母さんの呪いの言葉が、今更に効いてくるなんて思うても居なかった。
この性別やったから、章ちゃんと会えた。
仲間として、世界で唯一の強い結び付きがある。
やのに、僕はこんな思いを抱いて、勝手に苦しんで。
僕のせいやのに、章ちゃんに期待して嫉妬して……
…だから、この身体の僕には驚いた。
女やのに、ここに居れて、心は僕のまま。
夢のようやと思う。
「今、幸せ？」
「……もちろん」
「でも、」
「…でも？」
「でも……あなたは、もっと愛を手に入れなくちゃならないわ。
母子の愛というものは、その時期にしか手に入れられないから。
あなたは…寂しい人ね。
悲しくても、それを見せられない弱さがある。
元々のあなたは、辛さや苦しみを我慢しない弱さだけれどね。
あなたは自分を卑下して、生きてきた。
劣っていると考えて努力して、でも求める愛は手に入らなかった。
ならば、この身体を手に入れた今、あなたはもっと愛されるべきなのよ。
取り戻すの。魂を労わって、喜びを知るのよ」
「……何が言いたいんですか」
「視えるわ、あなたの魂の近くに。
あなたを強く思う人の影が。」
「え、」
「心当たりが、おありでしょう」
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みき(プロフ) - お返事ありがとうございます！2もこれから読ませて頂きます！楽しみです！ (2020年8月19日 8時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました。応援を頂いて更に頑張ります！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！私の予想してなかった展開で、この先が楽しみです！ゆうみさんの挑戦、応援してます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました…！これから自分としては少し挑戦なので、コメントも楽しみにしています！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 世利菜さん» コメントありがとうございます！ 読んで頂けて嬉しいです。これからも色々進んでいきますのでまた感想頂けたら嬉しいです！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年5月29日 14時
