別人みたいな「僕」の話【黒】 ページ15
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熱中症で倒れたあの日から、Aはいささかおかしい。
約20年一緒に居って、こんなAは見たことがない。
頭を打つと脳細胞が何万と死ぬ、とは聞いたことがあるけど、この人にそれが通用するとも思えへんかった。
Aは昔から外面が良かった。
共演する人や、現場のスタッフにはさっぱりとした感じの「ええ人」として振る舞うのが巧い。
口も達者やし、器用やし、何でもある一定は出来る。
でも、内弁慶な所は否めなかった。
マネージャーや事務所のスタッフ、主に末端には当たりがきつく、冷たい言葉を投げ掛けることが多く、我儘放題で、周りをよく混乱させた。
社長を初め、上の人間からは優遇されている分、誰もそれに指摘は出来なかった。
俺たちも何度か説教はしてみたけど、特に変わらへんかったし。
でも、俺らはどうしてそんな態度なのかが解っていた。
Aはずっと独りやった。
事務所の唯一の例外として、内部も外部も敵だらけ。
やから今、こうやって身内の中だけででも、傍若無人に振る舞えるなら、俺らは正味、それでええとすら思うてる。
身内への厳しさは、大抵正論やったし、その強い向上心が周りも自分も引き上げていた。
とはいえ、理不尽なことも多いし、頑固で言い出したら聞かへんし、すぐメンバーとも喧嘩するし、自己中やけど。
自分第一主義者で、自己顕示欲の塊で、昔からグループ外活動が多かったせいもあってか、自分が良ければいい、というか、逆に言えば、自分が一番やないと気が済まない所もあった。
思い起こしてみるとあまりに酷い。
でも、それでも許してしまっていたのは、ひとえにAの、飴と鞭の使い分けの上手さなんやろうな。
内部にも外部にも、Aは頼るのが本当に得意やった。
それは些細なことから、大きなことまであったけど、持ち前の人選眼でその人に頼めるギリギリを見極めてた。
それをしてあげると、地面が割れるくらい喜んでくれる。
本当に世界一幸せ、というように歓喜する。
Aはそれが、他人を気持ちよくさせるのを知っていた。
これが、内部の人間が
「星名さんは面倒くさい」
「星名は厄介」
「星名さんはどうしようもないクズ」
「Aは悪魔に最も近い人類」
「誰もAちゃんを更生させることは出来ない」
と口々に言いながらも、それでもやっぱり現状に甘んじている原因であり、これこそが誰もAを憎めない要因やった。
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みき(プロフ) - お返事ありがとうございます！2もこれから読ませて頂きます！楽しみです！ (2020年8月19日 8時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました。応援を頂いて更に頑張ります！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月17日 23時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！私の予想してなかった展開で、この先が楽しみです！ゆうみさんの挑戦、応援してます！ (2020年8月16日 17時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - みきさん» 更新しました…！これから自分としては少し挑戦なので、コメントも楽しみにしています！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 世利菜さん» コメントありがとうございます！ 読んで頂けて嬉しいです。これからも色々進んでいきますのでまた感想頂けたら嬉しいです！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 8ee4399846 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年5月29日 14時
