【6】宮野さん(女)はえいとでした【人妻編】 (ページ10)

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⑩幻でも手を離すなよ【緑】ページ10

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Aちゃんとの「これから」があるのは……俺だけなんや。

それがさっき書いたあの一枚の効力なのか。

とはいえ恐ろしい。

Aちゃんから出た、

「次生まれ変わったら、男の人に生まれてきて
今度こそ本物のジャニーズになりたい。」

―――今の自分の努力すら、不完全であると思い込む
生真面目さと生来の謙虚さ。

ステージでしか輝けない本物のアイドルとしての姿。

それに、終わってからネットでこんな文章がバズっていた。

『女性なのにジャニーズで、14歳でデビューして、中性的な魅力で爆発的な人気を誇り、俳優としても朝ドラと大河に2回ずつ出演、グループではベースとボーカル、歌も踊りも得意な上に電車で痴漢を撃退するナイスガイでなおかつ男女交際ゼロのまま引退する花嫁がいるんですよ宮野Aって言うんですけど。』

『ちょっと待って！？！
つまりAちゃんは王子様であり男装の麗人でありスーパージャニーズだったけど、彼氏居ない歴イコール年齢で初キスの相手(メンバーの中で唯一名字＋さん呼び)と結婚をするってことはAちゃん実はディズニープリンセスだったってこと？！！！
最高ですね！！？！！！』

　
『よりにもよって型破りな女ジャニーズの宮野が20代で引退して結婚して家庭に入るなんて全く似合わないし古典的だし、何よりあの才能がもったいなさ過ぎる。』

『つまり岩茸取るのも渋った大倉が、イケメンでモテモテで真面目で視聴率取れる演技力を持ち合わせ、ファンを第一に考えるコンプライアンスゴリ守り(ただし美女でもあり処女でもあり私生活割とポンコツ)の王子様を嫁に貰うってことか』

……こんなの見ちゃったら、いやでもプレッシャーや。

俺は、とてつもなく大きなモノを背負おうとしてるみたいやった。

まさしくその通りなんやろうけど。

Aちゃんの、最後に流した涙の一粒だけが世界に別れを告げていた。

ーーこれから、全てを進めんとあかん。

まずは挙式。

この式までは俺はAちゃんと、キスすら出来ない。

指輪も同棲も、旅行にだって行かれへん。

でも、今は。

さようなら、宮野A。

ありがとう、白い王子様。

そして、始めまして。

おーくらさん、と俺を呼ぶ、

もう一人のおーくらさん。

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