【6】宮野さん(女)はえいとでした【人妻編】 (ページ6)

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⑥もう、行かなくちゃページ6

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歌い終わり、止まない歓声。

メンバーひとり一人から、メンバーカラーの花束を受け取るAちゃん。

黒いカラーは『乙女の淑やかさ』

赤いバラは『情熱』

紫のアスターは『変化を好む』

オレンジのチューリップは『はにかみ屋』

青い矢車菊は『繊細』

黄色のダリアは『優美』

緑のラナンキュラスは『晴れやかな魅力』

どのお花も、Aちゃんにぴったりやった。

最後のたっちょんから受け取ると
それは大きな花束になっていました。

会場全体が涙涙で、口々にAちゃんを呼び、メンバーも堪えきれずに泣いている中、本人だけが聖母のような微笑みでそれを受け止めている…

それはファンである僕らも含めて、初めて見た「泣き虫で甘えん坊な最年少」やない、それを卓越した一人の美しい人の姿でした。

BGMが流れ始めました。

Aちゃんがはっと気付いて、見慣れた、少し困ったようなあの笑顔を見せてから、一言紡ぎ出しました。

「ーーーもう、行かなくちゃ。」

……僕は思わず、行かないでと叫んでいました。

ゆっくりとアリーナのエイターたちに視線を飛ばし、ひとりずつメンバーと目線を交わすAちゃん。

そして、持っているマイクをすばる君に手渡した。

かの伝説のアイドルはマイクをステージに置いて芸能界を去って行ったけれど、僕らのAちゃんは、すばる君に託して去っていくんだ。

真っ黒なメンバーと真っ白なAちゃんの対比が綺麗で、なおのこと涙が出た。

客席に背を向けて、歩き始める。

今まで気づかなかったけれどこの衣装、羽がジャケットにあしらわれていた。

いつかの寝起きドッキリの時にAちゃんが寝ぼけながら呟いたキンキの『僕の背中には羽がある』を強く思い出した。

腕に抱えた、その7色の思い出だけを持って、Aちゃんは手の届かない所へ行ってしまうんですね。

その時、Aちゃんが振り返った…

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