（1）第一回大倉夫妻会議 ページ12
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ASide
本番が終わり、挨拶が終わり、取っておいたホテルで爆睡して、決めた時間におーくらさんの部屋に行った。
時刻は朝8時。
……早い。
「おはよう、おーくらさん」
「おはよ。あと明けましておめでとう」
「おめでとう」
二人とも朝に強い訳では無い。
寝癖に、開ききっていない眼、昨日の余韻。
全てが朝を物語っていた。
おーくらさんはまだ備え付けの浴衣を着ていたからええけど、私は疲れすぎてシャワーも浴びたのにまたワイシャツ着てるし。
「明日から大変やでAちゃん」
「…そうやね。」
「2月に式です」
「そうです」
「ドレスも指輪も会場装飾も何も決まってません」
「そうです」
「それにその後のことはもっと決まってません」
「新居、新婚旅行」
「せーいかーい」
「やったあ」
「はよ何でもかんでもやってくで！」
「やる気やね」
「やってキスも出来へんねやろ？
俺早うしたいんやもん、あ、今したらあかん？」
「あ、あかん！」
………直球〜〜！！
私はこういうことが結婚やと思わへんように、この何ヶ月か暮らしてきた。
先延ばしにしてきた。
やってえ…
…カメラの無い所でどうやって人がキスするのか…
…もっと言えば……どうやって枕を同じにするのか……
………検討も、付かへんのです……。
「あ、お母さんからライン来てる。年賀状のこと」
「最高やろやっぱりあれ」
「ええよね、」
年賀状言うんは結婚報告も兼ねたそれのこと。
私達は決まって割と早い時期に、披露宴はせず式だけ、それも洋装ということだけ決めてたから、和装で写真だけ撮っていてその写真を使ってみたのやった。
正座して嬉しそうに手を付きつつ、笑顔を見せるおーくらさん。
それを同じく手を付きつつ、おーくらさんを見上げる私。
ある意味関係性のよう分かる一枚やと思う。
「ともかく、これからは私時間あるし、
全力でおーくらさんの分も頑張るわ」
「うん。色々お願いする時もあると思うねん。
無理せえへん程度で！」
「おっけ。」
「ごめんやけどさ、ギュッとだけさせて」
「……ええ、別に今までかてしてるやん。
昨日終わった後もしたやん」
「二人きりになっては初めてやで」
「そんな改まられると恥ずかしい」
「Aちゃん、俺のお嫁さんなんやで」
お嫁さんなんやで。
その言葉が何度も何度もループした。
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月26日 23時
