��虚勢は男の生きる道【青】 ページ18
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青Side
『章ちゃん、見てた？』
電話越しでも、安堵が伺える声が聞こえた。
「見てたよ〜」
『何か真面目にやるつもりやったのに、結構笑ってもうたわ』
「Aちゃんが居れば、どこでも明るくなってまうんやな」
『ええ？そうかな？？』
いつもそうやったやん。
この事務所、結婚で会見なんて滅多にせえへんのに、でも開いて、しかも笑いまで起きて、ネットでの評判もめちゃくちゃ良くて。
僕がずっと贔屓して特別扱いしてたAちゃんやけど、それは日本中、みんな同じやったんやな。
………僕は君が大好きやった。
いつか振り向いてくれる、なんて子供っぽく思ってた。
やから、絶対に大事にしたかった。
大倉が「結婚しようと思うてる」なんて狂気の沙汰とは思えんことを言い出した時、僕は止められなかった。
止められなかったというか、むしろAちゃんが選ぶんやで、とまで言うてもうた。
僕は、あん時
「僕もAちゃんが好き。」
そう言わんとあかんかったんや。
やのに、ああ言うた。
……………ずっと前から知ってた。
ドラマの現場行った時に確信した。
みんな分かってた。
だから今回の事やって応援してるんや。
あの二人の何気ない距離感、気負うことのない柔らかい会話。
僕はAちゃんの、一番近くに居たから知ってた。
見ないふりしてたけど。それでも。
あの子の悩みは何でも聞いてた。
あの子の悩みは僕の悩みやった。
でもあの子の笑顔の大半は、大倉のものやったってこと、
そんなこと分かってたんや。
きっと僕が結婚しようって言うても、あの子は
「気い使わせてごめんな。」
って僕の手をそっと握るんやろう。
あの子はいつも僕を特別扱いした。
それは自分でも感じてた。
やからこそ、僕にそういう役割は回ってこない。
大倉さんやったら、ええか。
大倉に対してはそういう、一種の遠慮のなさがあった。
反対も出来やしない。
僕は背中を押すことしか出来へん。
『章ちゃん。最後までよろしくな。
この世界辞めたかて章ちゃんは私の親友やから』
親友と運命共同体の差は、埋まるはずもない。
「応援してるで。卒コンまで輝いてな」
『当たり前や！』
嘘でもええやん。
僕はAちゃんの前では、ええ格好したいんや。
それだけや。
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月22日 8時
