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ASide
今日のオーラスまで誰も、引退のことは口に出さへんかった。
毎日、ただ明るく楽しく、笑顔で居てくれた。
それが、嬉しかった。
ドラマやってた頃より随分短い、いつもの長さの髪、衣装も皆と同じ。
それは、私の「演じ続けてきた」アイドルそのものやった。
アンコール。
マネのカノちゃんが「宮野さん、ついにあの、」と言いかけて、やっぱり言えなくて、そのまま私をステージに送り返した。
歓声、当たる照明、揺れるペンライト。
これを私は愛してたんや。
20年間、捨てられなかったこの世界。
私だけの1年遅れの15周年。
横ちょから促されて私はマイクを握った。
嫌な予感がしたんやろうか、会場が歪んだ悲鳴を発する。
私は、息を吸った。
「今日は、皆に言わないといけないことがあって、こうして今、喋らせてもらうことになりました。
私、関ジャニ∞の宮野Aは、年内を持って、芸能界を引退します。
理由は、私の診断された病気です。
私な、腎臓が悪いんやって。
気付くのがちょっと遅れてしまって、今、同年代の人より腎機能が落ちていってる状態です。
腎機能は失われたら戻って来うへんくて今より悪化すれば近い将来、妊娠出産が難しくなる。
更に進めば、人工透析とかもせんといけなくなる、そう言われてます。
この世界に入るきっかけをくれた事務所に、そして、私を受け入れてここまで活動してきてくれたメンバーに、恩返しするつもりでやってきた以上私は、完璧なアイドルでいたくて。
だから実は今まで、私は誰かとお付き合いしたりしたことがありませんでした。
今まで人生を掛けて頑張ってきたお仕事が、疎かになるんは私、考えられんくて。
本気でやってきた分、治療との両立は難しい…。
……そう判断しました。
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年3月22日 8時
