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溺れるくらい愛してよ ページ5

「ちょっと、どこに向かってるの?アタシの家は反対方向よ?」



さっきから前を歩くミスタに声をかける。思えば家じゃない方向に向かってるな、なんて気づいて。



「さァな、着いてからのお楽しみだ」



に、と笑う彼。


「ご機嫌取りならいらないわよ。」


ツン、と先ほどの事をまだ根に持つアタシ。

本当の事を言ってくれれば許すのに。どうして私に嘘をつくのかしら。


聞きたいけれど、何故だか今日は根掘り葉掘り聞かないことにした。


それは呆れもあるのか、どこかに隠れている信頼でもあるのか私にはよくわからなかった。



「A」



突然ミスタが振り向いて、愛おしそうな表情で私の名前を呼んだ。


そんなミスタに、胸が高鳴った。


「な、なによ」


「手、繋いで。そんで目も瞑ってくれ。」


「…ん、」


ミスタの差し出す手を取り、私は目を瞑った。



………手をつないでくれたの、初めて。



ミスタの熱い体温が、手を通じて伝わってくる。



少し湿った、ゴツゴツした大きな手。



私の靴は、コンクリートの上でコツコツとヒールを鳴らしていたのに



目を瞑ってからはサク、サクとメレンゲを切るような音がする。



…土、かしら。



「ねぇ、まだなの?」




よく歩いたと感じ、問いかけるとミスタは




「そう急かすなよ、シニョリーナ」




なんて、いい声で返ってきた。





……その呼び方は反則でしょ。

覚悟はできてるの?→←全然アタシに興味ないじゃん



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紫羅那@お絵描き部(プロフ) - 気まぐれメルシィだああぁぁぁぁぁ! (2019年5月7日 20時) (レス) id: 824c90f62e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:(・А・)ナニソレオイシイノー?  
作成日時:2019年3月13日 4時

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