マトリ兎は食べられる。【ヒプマイ】 (ページ1)

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file1-1:カフェインで始まる朝。ページ1

朝。

まだ重い瞼を開きながら起き、時計を確認して初めて今が朝だと言うことを知る。

ベットから伸びて立ち上がり、カーテンに遮断されていた日差しを解放すると私は着替えて鏡で自分を整える。
寝ている間に外に跳ねてしまった癖っ毛はとかしても治る気配はない。

仕方ないのでそのままにしてドアをコツコツと内側から3回ほど叩くと外から声が聞こえて扉が開く。

「お目覚めか、兎ちゃんよォ」

寝起きだからなのか、はたまた違う理由からか。少し機嫌が悪そうな彼に頷くといつものようにリビングまでついて行く。

彼は碧棺左馬刻と言ってこのヨコハマを仕切るヤクザであるらしい。
そんなこと今の私には知ったことではないけれど、問題はこいつは私の監視係であること。

別に私が何か悪さをしたわけではない。それに今の暮らしは前の暮らしよりもずっと安定している。…ただ、“彼奴”のせいで私は1人で出かけることもできないように見張られているのだ。

「おはようございます。名前さん。」
『…おはよう』

リビングで座りながら左馬刻さんのコーヒーを飲んでいたのは入間銃兎。ニッコリと人当たりの良さそうな笑みを浮かべる割には人の弱みを握ったり、それを利用して働かせたりとなかなかの汚職警官だ。

…現に、私もその弱みを握られている人間のうちの1人である。

『…今日はどんなことをしろって言うんですか？』

向かい側に座って尋ねると彼は、おや、よくお分かりで。と答える。やっぱり仕事の件だと言う考えは的中していたようだ。

彼は鞄から、綺麗にまとめられた資料を取り出した。

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