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*2ー3 ページ17

付けられている

と気づいたのは既に赤井秀一さんが住んでいると言うアパートが見えていた頃だった
またか、と呆れつつも真っ直ぐに歩き続ける

刺すような視線に、音を最小限に抑える歩き方
この人は武術を心得ているらしい
近くにあったサイドミラーを一瞬のぞけば、後ろに男がついてきているのが見えた
ニット帽を被った長身の男だった
目は鋭くクマが濃い
推定17〜19歳
重心の軸がしっかりしているので相当強いのだろう

厄介な相手に目を付けられたものだ

だが、歩いて撒こうとしているうちにこの男性は思慮深く理性が強いことがわかる
これだけ入り組んだ道でしかも人目の少ないルートを選んでいるのに接触してこない
別の目的があるのかもしれないが、ただ付けられるほど気持ち悪い事はない
相手が誰だかわからない以上、直接聞くか撒いてしまったほうがいいだろう

何回目かの曲がり角を曲がった瞬間に、一気に走り出す
後ろの男性も慌てて走り出すのがわかった
あれだけの頭脳を持っていたのに、その迂闊な行動にクスリと笑う
やはりまだまだ若いらしい

前世では鬼ごっこでよく木と木の間を渡ったり、ジャンプだけで登ったりしていたのでこの歳になっても身軽だ
そう思えばこの行為も一種の鬼ごっこだ
場違いだが少しワクワクする

出来るだけ音を立てずに走り、壁の継ぎ目や汚れでこの先のルートを推測する
相手は土地勘があるようだから出来るだけ複雑な作りの路地裏を抜ける

そうこうして、背後の気配がなくなったところで足を止めた

どうやら撒けたようだ

ふっと息をついた時
鋭い感覚が背を走る

慌てて振り返り足を振り上げるがもう遅かった
男は半歩下がるだけで蹴りを避け私の腕を取られる
そのまま鈍い衝撃とともに壁に縫い付けられていた

「くっ」
[随分と鬼ごっこが上手じゃねぇか]

クツクツと笑う男はサイドミラーで見た男だった
特徴的なクマに翡翠の両目
壁に縫い付けられた両腕が少し痛い
動かそうにも力の差は歴然でピクリとも動かない


力づくでは逃げられないだろう



さて、どうするか…

*2ー4→←*2ー2



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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時

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