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*2ー5 ページ19

said (silver bullet)

最初は好奇心だった
路地裏で躊躇いなく骨を折った彼女の危うさと美しさに魅せられたのだ
追いかけると決めるのにそう時間は要さなかったし
ただ単に話してみたいと思ったのは事実だった

結果は
まあ、ギリギリで捕まえることができた

話を聞けば最初から彼女は俺に会いにアメリカに来たらしい

[コーヒーと紅茶どっちがいい?]
『…紅茶を』

そんな彼女
神誓Aは現在、俺のアパートにいた
部屋に入る前から思っていたが隙がない
今も警戒した猫のようだ

入れたての紅茶を彼女の前に置く
俺は彼女の正面に陣取りコーヒーを飲んだ

[で?要件は?]

そう尋ねれば彼女は仮面のような微笑み崩さずに一つの封筒を取り出す
手に取りじっくりと観察する

差出人は行方不明になっている父
動揺しながらも封を開けるとどこか懐かしい筆跡でたった一文だけ

“熱病に命尽きるまで、真実を隠す霧を一掃しろ”

いまいち具体性にかけたこの文に内心首を捻りつつ、この封筒をなぜ彼女が持っているのか
と様々な疑問が湧き上がる
それを知ってかしらずか
彼女は俺の反応を可笑しそうに眺めていた

今の彼女はまさに高みの見物状態だ

[…これをどこで?]
『差出人は書いてあるはずよ』
[そう言うことを言ってんじゃねぇ、どこで貰ったか聞いてんだよ]

苛立ちを含みながら言うも、彼女は変わらない
ただ微笑みまっすぐな目で俺を見返すだけ

『この世の中知らない方が幸せなこともあるのよ』
[は?]
『一般人が知るにはまだ早いって事』

クスリと笑いながら紅茶をすする彼女は到底16には見えない
ジワリと冷や汗がにじむ

思えば路地裏でもそうだった
骨を折ったと言うのに冷静すぎる態度
話しているときに見せる知識量の多さ
そして、年上の男性に睨まれていると言う事実に対するこの落ち着き様

全てが全て熟成しすぎている
まるで、年上の女性を相手にしている気分だ

俺が何も言えないでいると、彼女は困ったように微笑んだ

『貴方の謎はいつかは解くことができる。ただ、今はまだ早い。』

彼女はスッと音もなく立ち上がって手荷物を持った

『上げていただいてありがとう。もうお暇するわ』

つられるように俺も立ち、玄関まで行く

[…わかった。送っていく]
『いいえ、要らないわ。
また会いましょう。秀一さん』

バタンと扉が閉まった

最後まで隙がなく完璧に振舞っていた彼女は
完璧な微笑みとともに俺の元から去っていった

*作者部屋*→←*2ー4



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al8056(プロフ) - この世界ではの話でネグリジュじゃなくてネグリジェだも思います! (2020年6月3日 0時) (レス) id: bd89f0112b (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - ayuさん» ありがとうございます!頑張って更新します!! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
ayu - 初コメント失礼します!この作品がすごく面白くて更新楽しみにしてます!応援してます! (2019年5月21日 8時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
くるクラ(プロフ) - 白桜姫さん» ありがとうございます! (2019年5月21日 7時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - あなたが神か?最高! (2019年5月20日 0時) (レス) id: b2ef42075e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年5月19日 20時

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