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安室said

バタバタとコートの裾が暴れるように翻った
息の詰まる空間を物ともせずにコートの持ち主ー明烏ーはうっそりと笑っている
ライはゴクリと唾を飲んでから少し震える声で言った

「…どういう意味だ」
「間が長いねぇ、ノックと言われてから5秒も経ってる。
それじゃあ自分はノックですって言っているようなものだよ」

からりと笑って彼女は懐から自然な動作で銃を取った
あまりにも自然すぎてそれが銃だと気づくのに数秒の時間を要してしまった
ハッとした時には既に遅く、ライの両足が撃たれた
呻き声とともにどさりと音が響く
ジワリと嫌な汗が背中に滲んだ

「さ、これで身代わりは完成だ。君は自由だよ、スコッチ」

クルリと振り返った彼女の目は怖いほど優しい目で、酷く悲しげだ

「…なんで」

ポツリと溢れたヒロの声は期待と怯えと困惑が入り混じっていた
カラスはその声を受けて目を細め、能面のような表情になった
何かに落胆したような、絶望したような
そんな表情がありありと無表情の中に映されていた

「……期待外れだなぁ」

ポツリと零された言葉が全てを物語っていた。万感の思いがその中に詰め込まれていたのだ

未だに困惑する僕らを他所に彼女は手のひらの黒く光る銃を懐に仕舞い込んだ。
それから右耳にある無線機に手を添える

「アベル、仕事の時間よ。…ええ、逃亡用のトラック1代
行き先は警視庁。一人分で結構よ……ライ?…そ、なら生かしとく」

事務的な声でやり取りするカラスは俺たちなど眼中になかった
今ならヒロを連れて逃げれるかも…

「バーボン、大型トラックの操縦できたよね」

ライの首筋に手刀を落としてから言う彼女に思考が中断される
今何を言ってもふ声が震える気しかしないのでコクリと頷いた

「よし、スコッチ。歩ける?」
「っぁあ」
「このビルから出て北に3m歩いた所に「レディロウ」というバーがある。
そこでアベルと落ち合って、トラックのキーを貰え。後始末はこっちがやっておく」
「待て、なんでそこまでする?」

ズラズラと並べられる情報に声を上げる
危惧した通りに震えていて自分が情けなくなった

彼女はそんな僕に目をやって少し口角を上げた

「友人の最後の頼みだからだよ」



*****−−***

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あかね(プロフ) - 更新待ってます! (2021年9月4日 12時) (レス) id: 0c2de8423c (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - キカさん» ありがとうございます!頑張りますね (2019年9月27日 19時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
キカ - すごい面白かったです!これからどうなるのか楽しみすぎてやばいです!更新頑張ってください!応援しています。 (2019年9月27日 16時) (レス) id: 2047e5dc6b (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 栞さん» コメントありがとうございます!せっつかれないように頑張りますねw (2019年9月11日 10時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです。更新頑張ってください!! (2019年9月11日 9時) (レス) id: c401117eec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年7月11日 12時

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