【ヒロアカ】愛されることを知らない少女の物語．弐【轟焦凍・緑谷出久】 (ページ7)

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第55話ページ7

次の日

私は焦凍と待ち合わせをしている静岡駅にいる。

『15分早く来すぎた。』

近くのベンチに座っていると、人混みの中から見慣れた紅白頭がこっちに来た。

焦凍「悪ぃ。遅くなった。」

『ん。大丈夫。早く行こ。』

焦凍「そうだな。」

焦凍の案内で焦凍のお母さんが入院している病院に着いた。

焦凍が面会の手続きをしてくれて、いつでも面会できる状態になった。

焦凍と今、

─315 轟様─

と、書かれた病室の前にいる。

ドアを開けようとドアノブに手をかけようとする焦凍の手が震えていた。

パシッ

私は焦凍の手を押さえた。

『落ち着け、深呼吸をしな。そんな状態では精算出来ないよ。』

焦凍「そうだな。」

焦凍は深呼吸をして、落ち着いたみたいだ。

焦凍「行くぞ。」

焦凍はドアノブに手をかけてドアを開けた。

ガラッ

病室の中には窓から外を見ている白髪の女性がいた。

焦凍「お母さん。」

冷「焦凍？」

焦凍「お母さん、久しぶり。」

『....突っ立ってないで、近くに行きなよ。焦凍。』

焦凍「ああ。」

焦凍は私の腕を掴んだ。

『は？』

焦凍「お母さん、俺の彼女の緑谷A。」

『っ。緑谷Aです。

よろしくお願いします。』

冷「焦凍の母の轟冷です。

焦凍のことをよろしく。」

焦凍「近くに行った方がいいんだろ。」

私は焦凍に引っ張られて、冷さんの近くに来た。

焦凍「お母さん、俺はひとつのことにことに囚われていた。ごめん。」

冷「焦凍、謝るのは私の方よ。

焦凍が何にもとらわれずに突き進むことが私の幸せで救いだよ。」

冷さんは泣いて謝って、あっさりと許していた。

焦凍「お母さん。」

冷「Aちゃん、家族とは上手くいってないの？」

冷さんは私の表情をよく見ていたのか、

私が焦凍と冷さんのことを見て、憧れていたのがバレた。

『.....っ。』

焦凍「Aの双子の兄が最初、無個性って言われていて、Aは個性2つもちでAのお母さんはAのことを虐めていたから。」

冷「Aちゃん、何かあったら頼っていいわよ。」

私の頬に涙が伝った。

焦凍「泣きたいんだったら泣けばいいだろ。」

焦凍は私の頭を撫でてくれた。

『ｳｯ……ｸﾞｽｯ…ﾋｯｸ』

焦凍「大丈夫だ。俺がいる。」

私は初めて人前で泣いた。