【ヒロアカ×刀剣乱舞】轟家の失敗作少女の個性は"刀剣乱舞" (ページ32)

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第29話ページ32

焦凍side
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体育祭終了直後、霧氷は護衛から外れた。

時の政府の方が忙しいらしい。

俺は家に帰り、Aの部屋に入った。

Aがいなくなって直後から、Aの部屋には入っていない。

ほとんど何も無いが。

部屋の本棚に花言葉についての本と日記があった。

俺は日記を取り出して、床に座った。

○月××日
焦にぃが、またお父さんに訓練を無理やり受けさせられていた。
焦にぃを庇っても、“失敗作”の私じゃあ、何も出来ない。
どうすれば、焦にぃをお父さんから庇えるかな。

泣きたい。けど、焦にぃを守らないといけない。辛い顔をすれば焦にぃやお母さんが心配する。

自分の表情に仮面をつけて、ずっと普通でいよう。辛くても、苦しくても、ずっと平気なフリをする。そうすれば、焦にぃやお母さんを安心させられる。

□月◇◇日
お母さんに煮え湯を浴びせられそうになった焦にぃを庇った。焦にぃの顔の左に火傷の跡が残った。私の首にも火傷が残ったけど、気にしない。
お母さんはもう限界だったんだ。
お母さんは私を見る度避けていた。お父さんに容姿が似ているからだ。
私は…失敗作じゃない。私は■■■だ。いるだけでこの家が壊れる。

○月△△日
お母さんが入院してから、焦にぃの性格が変わった。

今日、個性が3つあることを知った。
氷と■■■■と■■。
こんな変異した個性じゃ、焦にぃを守れない。
どうすれば、焦にぃへの負担が減るんだろ。

○月×△日
時の政府の鏡澪奈っていう人に声をかけられ、時の政府に入らないかって言われた。

時の政府はヒーローより荒い仕事だから、死と向かい合わせということは、知ってる。入りたかった。でも、焦にぃがいるから、断った。

家に帰ったら、焦にぃに“失敗作”って言われた。

そっか、私は失敗作…だから、お父さん、お母さん、姉ちゃん、兄ちゃんは、私に関わらないんだ。

早く私みたいな■■■は消えた方がいいよね。

時の政府に入ろう。

この家から居なくなれば、いつ死んでも誰も悲しまない。

さよなら。

文章はここで終わっていた。

俺の頬に涙が伝った。

Aは、誰にも頼らず、本心を言わなかった。

苦しかったはずだ。

頼ってくれてよかったんだ。でも、あの時の俺にはそんな余裕なかった。

A、今は時の政府で元気にやっているのか？

俺は日記を本棚に仕舞い、Aの部屋を出ていった。

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