貴方のことは何も知らない (ページ23)

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貴方side

何かあったのか、と言われて少し体が強ばる。
少しの間があったあと、Aは口を小さく開けてぽつぽつと話し出した。

A『ｯわ…私……明日から…………ここへはもう来ないんです』

今、目の前にいる人がどんな表情をしているのかは分からない。でも、この人が悲しがっていたら…なんて思ってしまう。

男は黙ってAの話を聞いていた。

A『理由は、私の私情です…詳しくは言うことが出来ないけど……』

男の顔を見れず、ずっと下を向いたまま話す。
すると男が口を開いた。

男「そうか、ならワタシももうここには来ないね」

そう言うと、男は踵を返して歩きだそうとした。

A『_______ｯま、まって！』

自分が思っていたよりも大きな声が出た。私の声であなたがとまる。

A(言わなきゃ…)

そう思っているのに声が出ない。冷や汗が背中に流れているのがわかる。嫌がられるかもしれない、拒否されるかもしれない、そういう目で見ていたのかって失望されるかもしれない。

でも。

男「………？」

A『わたし……私、あなたのことが_____』