貴方のことは何も知らない

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貴方side









昨日の朝は寒くて動くのがだるかったのに、今日の目覚めはバッチリだ。









A『筆よーし、絵の具よーし……』









荷物を確認したあと、誰もいない家に向かって行ってきますと一言言って出ていった。









A『今日も寒いなー……』









丘に着くと、いつもと同じように絵を描く準備をする。









(あの人来るかな…………)









少し楽しみで早めに家を出てしまった。
まだ来ないか、と心の中で思っていると、









男「今日は違うの描くか？」









A『…………！！！おはようございます！
あ！隣どうぞ！』









男「…朝から喧しい奴ね」








A『えぇ…あ、今日も同じ景色描きますよ』









男「？昨日書いた、ないのか？」









A『私ここの景色しか描いたことないんですよね笑』









会話が続いてることに内心喜んだ。Aは
絵を描きながら、男の人が聞いてくる質問を答えていく。2人で話している時は外の寒さなんて全く気にならなかった。









A『私まだあなたの名前聞いてないです。なんていうんですか？』









私がこの質問をした時一気にその人の気配が変わった気がした。









(えっ……)









さっきまで感じていなかった寒さも、周りの木のざわめきも鮮明に聞こえた。
男の人は前を向いたまま黙っていた。









A『…すいません嫌なこと聞いちゃいましたか……？』

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