陸拾捌 ページ8
僕の腕の中で、いつの間にか寝息を立てていたA。
きっと今日は、いろんなことがあって疲れたのだろう。
僕の肩に寄りかかる白い頬を撫でると、さらさらしていて柔らかくて心地いい。
一昔前の僕なら、人生にこんな場面はいらないと思ってた。
運命の人なんて…嘘だって、信じなかった。
でも今なら信じてる。
きっとAが僕の運命の人。
信じてたものなんて、そもそもそんなになかった。
志々雄さんと、「弱肉強食」。
それ以外、信じられるものなんてなかった。
Aに出会ったら、信じれるものが増えたから。
ふと視線を落とせば、返り血で真っ赤に染まったAの手。
刀の白い柄も赤黒く染まっている。
その手の血を拭おうと触れてみても、もう固まっていて拭えなかった。
僕も返り血を浴び続けて何年になるかな。
志々雄さんに出会ってからだよね。
そういえば…
僕がまだ、Aのことをよく知らなかった時。
志々雄さん、言ってたなぁ。
『俺と抜刀斎とお前…。俺たちは…後世に語り継がれる伝説の剣客だ。だがな、俺たちだけじゃねえんだ。もう一人いる。』
『誰ですか？』
あの頃から分かってたんだ。
Aに秘められた力を。
あの時の情景が頭に浮かぶ。
僕の少し先に立ち、まっすぐ見つめる志々雄さんの視線の先には…暗がりの中で血塗れの少女。
高く一つに結った黒髪。
青い着物。
柄が白い刀と黒い刀の二本を腰に差し、周りには10人ほどの死体。
前から走って来る警察官。
ゆっくりと顔を上げ、その目でしっかりと捉える。
刀に手をかけ、それを抜いた。
その刃は、もうすでに血の味を知っていて。
・
・
『あいつはきっと…もう一つの伝説になる。』
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
