陸拾質 ページ7
「大丈夫だよ宗次郎…私が泣き止むまでずっと一緒にいるからね……」
Aはそう言って、僕の両足の間に入り、自分の方へ引き寄せてくれた。
どうしても泣き止むことはできない。
でも…この体をもっと近くに感じていたい。
Aの背中に片腕を回し、肩に顔を埋めて泣いた。
僕は一度志々雄さんに寝返った。
裏切ったんだよ…Aを。
それなのに…どうしてまた僕を受け入れてくれたんだろう。
Aが変えてくれた僕の理屈を、志々雄さんはいとも簡単に壊していった。
結局は僕…弱かったのかもしれない。
そうじゃなければ、Aがくれたこの気持ちを…信念を…持ち続けていられたかもしれないのに。
Aをあんなに危険な目に遭わせなくてもよかったのかもしれないのに。
Aが志々雄さんに殺されそうになるのを知って、初めて自分のやったことに気づいた。
あの時、もしも…少しでも躊躇っていたら。
考えただけでも涙がこみ上げる。
Aの着物が僕の涙で濡れていく。
一生懸命に背中をさすってくれていて。
「宗次郎は間違ってないよ……だってどんな時も逃げないし、私を守ってくれるし、強いし、誠実だし、優しいもん。良いところはこれだけじゃないよ。私は宗次郎が大好きだよ……」
そうやって励ましてくれる。
気づいたら愛おしくて…僕の生きる意味で。
どうしようもないくらい大好きで。
Aのいない世界なら、僕がいる意味はない。
「A……A…………愛…して…る…」
息が上がっていて上手く言えない。
それでもAはしっかりと聞き取ってくれる。
「うん…私だって宗次郎が世界で一番大好きだよ……」
両手で抱き締めたい。
僕の右手に握られている折れた刀を手放し、僕はもう片方の腕でAを強く抱き締めた。
そうすると、Aも今までより強く抱き締めてくれた。
「今まで…裏切ったり……迷惑かけたり……本当にごめん…だけど僕は……ずっとAが好きだから……」
「私もずっと…宗次郎が好きだよ。裏切られたって…あれだってきっと事情があったんだなって思ってる。それに今まで宗次郎に迷惑かけられたことなんて一度もないよ……」
もしかして…泣いてるの？
言葉が段々途切れてきている。
そして、僕の肩にかかる息も…熱くなってきているから。
「A……愛してる……」
「私もだよ…私も、宗次郎が大好き…」
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
