陸拾参 ページ3
「ふぅー…着いたね!」
小舟からなんとか大きな船まで上げてもらい、一息つく。
「ここに長居してるとすぐ足止めを食らいますよ。」
「あ、そかそか!じゃあ行こ!」
五人で走って中に入ると、まず初めに斎藤さんが離脱。
「じゃあね斎藤さん!気をつけてね!」
「お前に言われるほど落ちぶれちゃいない。」
煙草をもう一度咥え直して、若干微笑んで言ってしまった。
それから志々雄一派に会い、左之助が止めてくれることになった。
「早く行け!ここは俺に任せろ!」
「かたじけない。」
「気をつけてね左之助!」
宗次郎も軽く会釈をして、三人になった。
そして開けた場所まで来たと思ったら、いきなり宗次郎が止まった。
「え…宗次郎、早く行かなきゃ…」
剣心さんも私も、振り返って宗次郎を見る。
だけど宗次郎はどこかおかしくて。
「人間、強さだけでないのは分かります。でも、僕だって譲れないものがあるんですよ。緋村さん。」
…は?
何言ってるの…こんな時に。
「ねぇ宗次郎、早く志々雄を倒しに行かなくちゃ…」
「人間には優しさも必要です。でもそれは失うもののない世界で生きている人が言うことなんですよ。」
「それはどういうことでござるか。」
剣心さんが向き直る。
やばい。
両方には殺気が出ている。
「僕は決して緋村さんを仲間と認めたわけじゃありませんし、緋村さんの理屈にイライラするのは変わりません。」
「A。」
「え?あ、はい…」
不意に宗次郎に名前を呼ばれて、思わず敬語になってしまう。
「危ないですから、隅に行くか、先に行っててください。」
私がいたら邪魔なのは分かる。
だけど…このまま行くのはなんだか心無い気がする。
でももしかしたら、誰に戦いを挑まれるか分からない状況を一人で行くのが怖いだけかもしれない。
それじゃあ…だめだよね。
そんなんじゃ、志々雄には勝てない。
その可能性を潰すため、私はこの場を離れることにした。
「うん、それじゃあ先に行ってる。二人とも…ほどほどにね。」
私が口を出していいことか分からないけど、二人とも無事でいてほしい。
「Aも、気をつけてください。あの人は怪物ですから。」
「うん!」
私は扉を開けて次の部屋へ急いだ。
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます! (2021年8月19日 16時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです! 楽しい時間をありがとうございました! (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった!宗次郎大好き! (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね!ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青りんご | 作成日時:2014年12月21日 10時