捌拾 ページ19
やっとのことで岸にたどり着く。
志々雄一派も警察に捕まり、無事に事は終わったようだ。
なんか…燃え尽きたって感じ。
「大変だったねえ…宗次郎。」
「そうですね。僕は…得たものもありましたけど、失くしたものも多かったです。」
しみじみと少し遠くを見てそう呟く宗次郎。
その目が愛おしかった。
そんな…少し愁いを帯びたその目。
「そっか…」
それ以外は何も言えずに宗次郎の横顔を見つめていると、ふと宗次郎が私の方を向き、目が合い、微笑んだ。
「でも、得たものの方が大きいから。」
「え…」
その微笑んだ顔が驚くほど美しい。
息を飲むような整った顔に見とれてしまっていて、返事をするのを忘れていた。
「あ…そうだね!」
私も笑って返す。
だけどきっと、宗次郎の笑顔には勝てない。
宗次郎がふふっと笑って踵を返した。
どこに行くんだろう…
そう思って宗次郎と同じ方向を向いたら。
斬馬刀を取りに海へ飛び込んだびしょ濡れの左之助←
と、剣心さんと蒼紫と斎藤さん。
みんなそれぞれに愛する人が付いていて。
剣心さんには薫。
蒼紫には操ちゃん。
左之助には…弥彦…だと?←
いや、そんなことより斎藤さんには誰も付いてない。←
「斎藤さんですね。」
「うん、それ私も思ったよ。行こう。」
心が通じ合ったような気がして思わずニヤニヤしてしまう。
「斎藤さん…お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
宗次郎と私で斎藤さんに軽くお礼をして浜の奥へ向かった。
「お前らはあっち行ってろ。仲良しこよしを見せつけられても俺には良いことなんてねえ。」
え?嫉妬?←と、思いながらも、いらない心配だったね、と宗次郎と笑って斎藤さんから離れた。
すると…
私たちが向かおうとする方角から誰かが来る。
一人じゃない…
あ…もしかしてこの人…
「伊藤博文さん、です。」
宗次郎が教えてくれた。
「きっと船を海に沈めようとしたのはこの人ですよ。志々雄さんを暗殺しろと指示したのも、緋村さんを処刑しようとしたのも…全部この人です。」
「そっか…。やっぱりこの人が全部…」
すると宗次郎が少し大きな声でみんなに聞こえるように言った。
「僕たちを殺そうとしておいて…よくもまあ、のうのうと顔出せましたね。ま、そうじゃないとこんな役職務まりませんか。」
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます! (2021年8月19日 16時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです! 楽しい時間をありがとうございました! (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった!宗次郎大好き! (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね!ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青りんご | 作成日時:2014年12月21日 10時