質拾玖 ページ18
左之助side
なんやかんやで俺たちは船に乗ることができた。
「ところでよ、剣心。」
こっこり剣心に耳打ちすると、いつもの微妙に高い声で返事を返す。
「…？なんでござるか？」
俺がさっきから気になっていたこと。
それはただ一択。
「優月と宗次郎がなんであんなにくっついてんだよ。仮にも俺はあいつを女と認めてねえからな。」
「今さら何を言ってるでござるか。」
そう言って笑うと、微笑みながらグッと俺に顔だけを近づける。
そして小さな声で、
「二人は恋人同士でござるよ。」
なん…だと？
ま、まぁ予想が全くついていなかったわけじゃねぇ。
むしろなんとなく分かってたんだ。
志々雄と戦う時によ、優月じゃなくてAって誰かが呼んだ。
誰だかは忘れたけどな。←
その時にあれ？って思ったんだよ。
「左之、見なかったでござるか？」
「あぁ？何をだよ。」
「Aと宗次郎は拙者たちがまだあの船にいた頃、くちづけしていたでござるよ。」
「な、なんだと！？」
思わず大きな声を出してしまった。
Aと宗次郎が怪訝な顔で俺を見る。
それはあの斎藤とかいう野郎(笑)と蒼紫とかいう野郎(笑)も同じだ。
「よ、よう。」
愛想笑いを浮かべて軽く手を挙げ挨拶をして誤魔化す。
「なに？話してよ。」
Aが俺を見て言った。
やべえよな。
これはいくらなんでも話せねえ。
「左之の斬馬刀があの船に置き去りだってことを言っただけでござるよ。」
ニコニコ笑いながらAに返す。
Aも信じたようでニコニコ笑って宗次郎と顔を見合わしているけど、そんな縁起でもねぇことを言うのはやめてほしい。
「はっはっは！おもしれえ冗談だな！よっ、剣心！座布団一枚！」
調子に乗ったフリをして剣心の背中を叩き笑って、俺の手元にない斬馬刀の安否を確認する。
「それは本当だぞ相楽。」
「あぁ？おい斎藤一。ふざけたこと言ってんじゃねえ。俺の斬馬刀は一人歩きしねぇんだよ。」
「どこからそんな理屈が生まれる。阿呆が。」
阿呆…だと？
「あぁ…あの無駄に大きい刀のことですか？あれなら由美さんの遺体の向こう側にありましたよ。」
「あれ、宗次郎も見てたんだ。私は知らなかったけど…」
「そういうことでござる。」
澄まし顔で俺を見て微笑む剣心。
「おう、そうか。」
そして俺は海に飛び込んだ。
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
