質拾陸 ページ16
疲れ切った体で外に出ると、太陽が眩しくて手で光を遮った。
でもすぐにまた隣にいた宗次郎とまた走り出した。
…これからどうやって陸地に戻るんだろう？
「そういえば…あそこに船がありますよ。」
宗次郎が指を指す先には、綱でぶら下がってる木船が。
そっか、宗次郎はもともと志々雄一派だから分かるんだね。
「おぉー、本当だ！」
「ではその舟を下ろすでござる。」
剣心さんが私の方を向く。
あ、そっか。
逆刃刀は私が持ってる。
腰から逆刃刀を抜き、剣心さんに渡す。
「左之、拙者を上げてくださらぬか。」
「おう！任せろ！」
はっきり言って顔面血まみれなのに、軽々と剣心さんを持ち上げる。
「ダメだ。この持ち方じゃ届かねえな…」
そういったかと思うと、剣心さんを肩車した。
「お、おろ？」
揺らめく剣心さん。←
ちょっと可愛かった。←
「はぁ…」
宗次郎が溜息を吐いた。
「斉藤さん…この刀、無くなってもいいですか？」
「あ？いいわけねぇだろ。」
「失礼しますね。」
「あ”ぁ！？」
目にも見えない速さの助走をつけて、いろんな物を踏み台にしながら木舟に近づいていく。
「おい馬鹿野郎！！」
斉藤さんが必死に叫ぶが、もう遅かったようで。←
ザクッと音がして、木舟が下に落ちてきた。
それと同時に、宗次郎が全く重力を感じさせないようにフワッと降りてきた。
でも刀身を下にして降りてきたから…
「なんだよテメェ…」
「あ、ごめんなさい。床に刀が刺さっちゃいましたね。」
そう、床に刀身が見事に…鞘のところまで食い込んでいた。
普通にあの降り方なら刺さるはずがない。
だからきっとわざとだ。
「てめぇわざとだろ。絶対に許さねえからな…」
宗次郎はずっとニコニコ笑ったままだ。
「怖い顔しないでくださいよ。まぁわざとですけど。」←
「ふざけんな！！！」
まぁそうなるよな。←
斉藤さんが床に刺さった刀を抜こうとした時、剣心さんが私達を呼んだ。
「こんな時に喧嘩はダメでござる。」
そう言って微笑み、刀を床から抜くと斉藤さんの手元に持っていった。
「準備はできたでござるよ。」
「ああ…」
剣心さんが後ろを向き歩き出す。
宗次郎が鞘を斉藤さんに渡した。
「さぁ、行きしょうか。」
「チッ…」
斉藤さんの舌打ちとともに宗次郎は私の手を引いて歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
