質拾壱 ページ11
皆んなにバレないように、影で見守っていた。
宗次郎が本気を出しているようで、もう肉眼では何をしているか捉えきれない速さだ。
その様子を呆然と見ていると、ふと宗次郎との思い出が蘇る。
虐められてた私に、生きる術を教えてくれたのは宗次郎。
無意識に遠ざけてきたその過去を呼び起こしたのも宗次郎。
私を裏切ったのも宗次郎。
でも…私を愛してくれたのも、守ってくれたのも…宗次郎で。
好きすぎて言葉にできない。
宗次郎がいなきゃ何もできない。
金属音が止み、ハッと我に返った。
「ふぅ…やっぱり強いや…志々雄さんは。」
「何を言うかと思えばそんなことか。」
二人ともまだまだ余裕だ。
これからどんなものを見せられるのか、楽しみな気持ちもあるし、不安な気持ちもある。
どっちが強いかといったら、もちろん不安な気持ちだけど。
一息ついたところで、また宗次郎と志々雄が同時に動き出した。
すると、志々雄の刀から炎が出て宗次郎がよろけた。
「あっ！」
思わず一歩踏み出す。
その声に気付いたのか、剣心さんが私を見る。
「A…」
バレちゃったならしょうがないか…
今更だけど、もう少し近くにいたい。
剣心さんの隣に駆け寄る。
剣心さんはじっと宗次郎を見ている。
「A…宗次郎の刀はお主のでござるか？」
「え？あ…うん。そうだけど…」
怖い…何を言われるんだろう…
「刀の手入れはちゃんとしてるでざるか？」
刀の手入れ…
してない…
だってそんなの教わらなかったし、道具もない。
剣心さんはそれを察したようだ。
「お主のあの刀…刃こぼれしている。折れるのも時間の問題だ…」
宗次郎を見つめたままで、小さくそう呟いた。
「え…」
刀が…あの状況で折れたら、宗次郎はきっと殺される。
「ねえ剣心さん…どうすれば……」
「A…っ！逃げろ！もう刀が…」
「え…っ！？」
宗次郎が叫ぶ。
気付いてたんだ…宗次郎も。
ごめんね…私のせいで……
頭が真っ白になり、思考が働かない。
「くっ……」
こうしている間にも、宗次郎は必死に時間稼ぎをしてくれているのに。
「A、拙者の刀を使うでござるよ。」
右手の前に刀の柄がある。
剣心さんを見ると、真剣な眼差しで宗次郎を見つめていた。
「早く！」
剣心さんの一言で、止まっていた思考が動き出す。
覚悟を決めて刀を握った。
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キーさん(プロフ) - もう7年も前の作品だけど、いつか更新されることを願ってます！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
╋雨降りジョーカー╋(プロフ) - 控えめに言って 神作品。作者さん凄すぎるわ...この作品は非の打ち所のないんだけど... (2018年10月17日 23時) (レス) id: 380c7fa183 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - とっっっても面白かったです！ 楽しい時間をありがとうございました！ (2016年12月20日 19時) (レス) id: 88676b10f6 (このIDを非表示/違反報告)
北山LOVE - チョー面白かった！宗次郎大好き！ (2016年12月10日 4時) (レス) id: 2b9049c483 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったです。宗次郎が剣心の味方なのもいいですね！ありがとうございました。。 (2016年7月3日 1時) (レス) id: c21e049532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年12月21日 10時
