るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ40)

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伍什壱ページ40

ここは…どこだろう？

僕は死んだのかな？
志々雄さんに殺されて。

Aが志々雄さんの刀を止めたところまでは覚えてる。

それじゃあAは？

守りきれなかったのかな…

無事でいてほしい。

僕は死んでもいいから、Aを守れたらそれでいいや。

目が覚めて、布団から体を起こす。

すると、バタバタと足音が聞こえてきた。

「あれ？目が覚めたんだ！おはよう！」

あれ？A…

もしかして…Aも死んだの？

「A…ここは？」

「ここは、私の友達の家だよ。私は男っていうことになってるから、その辺よろしく！左之助にはバレてないみたいだから！」

そうか…
死んでなかった。

「Aらしいですね。優月ってAでしたっけ？」

「うん…そうだよ！あ、薫ー！」

無邪気に笑って、後ろを振り向いた。

そして部屋を走って出て行く。

一つに結んだ髪が左右に揺れているのを見ると、なんだか懐かしい。

あ、Aが戻ってきた。

でもその後ろには女の人と子供がいて。

「あら、良くなったのね。よかったわ。」

そう言って僕のそばに座った。

「あ、そうだ。Aは汚れてるからお風呂入ってきなさい。着物は…私の貸してあげる。たまには女物の着物も着るといいわ。」

そう言うと、押入れの中から薄ピンクの着物を取り出す。

この人には女ってばれてるんだ。

「はいこれ。着方、分かるでしょ？」

「うん！ありがと！じゃね、宗次郎！」

嬉しそうに着物を受け取り、走ってどこかへ行ってしまった。

Aの着物姿か。

なんとなく想像して、ふふっと笑ってしまった。

「どうしたのよ、笑って。」

「いや…別に、何でもないです。」

薫さんは無言で布を水に浸し、それを僕の額に置く。

「まだ安静にしてないとだめよ。」

「ありがとうございます…」

「てかよ、お前何者なんだよ。」

そばにいた子供が聞く。

なんて言えばいい？
Aの友達？

それでいいかな。

「Aの友達ですよ。」

「あっそ。」

いや、聞いといてその反応はないだろ。←

心の中でそう言いながらも、しばらく無言だった。

そういえば…

「薫さんって、Aが女だってこと知ってるんですよね？」

「ええ。知ってるわよ。」

「でもそれを知らない人がこの建物の中にいるんですよね？」

「あ…そうね、左之助のこと？」

「女物の着物着たらバレますよね？」

「あ。」←