るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ34)

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四什四ページ34

苦しくて息ができない…

「ぅ…ぁ……ぁ………」

ちゃんとした声さえも出せなかった。

意識が無くなりそうなところまで来た時、志々雄は僕の首を離す。

やっと息ができて、無我夢中で空気を吸った。

志々雄は私の刀を二本とも奪い、宗次郎に渡した。

そして僕は船の中へと戻された。

「どういうつもりだ。お前みたいなやつが…調子に乗るなよ。」

宗次郎も、そんなこと思ってたのかなぁ…

結局は僕、宗次郎のことが好きなんだ。

「お前にはここで死んでもらう。」

「え…」

嘘でしょ？
こんなところで死ねない…

何も考えられない。

頭の中が混沌としていて、何も考えられない。

ぐるぐると言葉の単語が回っている。

「嫌だ…嫌だ……僕はこんなところで死ねない…………」

やっと頭が回ってきた。

やり残したことなんてたくさんある。

例えば…そうだな、宗次郎にもう一度好きって言ってもらいたい。

その思いから、懐に入れておいた手紙を左手に握りしめる。

刀がないのは、こんなにも不安なことなのか。

膝がガクガク震えている。

刀に頼りすぎて体術は初心者。
今の状態では何も勝負はできない。

だったら…

「私が死んだら…宗次郎に伝えてほしいことがあって…」

「なんだ。言ってみろ。」

「私はずっと、宗次郎の事が好きだから…私を忘れないで。って。言っといてよ。」

「言いたいことはそれだけか。」

「うん。」

ふん。と鼻で笑い、何の躊躇いも無く刀を抜く。

一振りすると、剣の先から炎が出る。

これなら、出血死か焼死か…ショック死か。

殺され方によっては、内臓破裂とか。

そんな、考えても意味のないことを考える。

目を瞑って、心の中に最期の言葉を刻む。

宗次郎…大好きだよ。

私はずっと、宗次郎のことが大好きだから。

何かあったら、私といた時間を思い出してね。

ずっと信じてるから。

あの時間は絶対に嘘じゃないって、信じてるから。

また会おうね。

決心をして目を開いた。

ゆっくりと歩み寄ってくる志々雄。

思わず後ずさりしてしまう。

そして志々雄が刃を振り上げた。

それを一気に振り下ろして。

ゆらっと視界が揺れた。
自然に後ろを振り向く。

そこにあったのは白い襟元と青い着物だった。