るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ32)

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四什弐ページ32

裏切られるのなんて、もう慣れてたことなのに。

私の師範は、私がいじめられてたのを知ってたのに助けなかった。

俺が助けてやる、なんて言って。
そんなこと、全然思ってもないくせに。

『し…師範……助け…て！』

師範の言葉を思い出して声を張り上げてみるも、その願いは届かない。

師範は逃げたんだから。

アザだらけになって家へ帰る。

『…見てよ、殴られた。』

私を信じない親。

『喧嘩？どうせあんたが何かやったんでしょ？』

『違うよ！私は何もやってない！』

『あーはいはい。』

『いつでも頼ってね！何があっても友達だよ！』

そう言った友達。
私が道場へ通い始めた途端、「おかしい」なんて言って遠ざかる。

『好きです。』

そう言ってくれた恋人。

全部嘘だったなんて。
思いもしなかったよ。

…裏切られるのなんて、もう何回目か。

まだまだある。
きっとこれからも、あるんだろうな。

もういいや。

開き直って生きよう！

刀を抜き、裏切った人を斬っていく。

師範はもう斬った。

親を八つ裂きにして、友達だって、ブスブスと刀を突き刺す。

宗次郎は…

がばっ！

「夢か…」

良かった…宗次郎を斬らなくて。

でもそうだな。
開き直って生きるのも、悪くないかもしれない。

朝日が板の隙間から差し込んでいて、ありえないくらい清々しい朝だ。

昨日まで裏切られて泣いてたことがバカバカしく思えてくる。

もうやめよう。

恋人がいなくなった今、私が女である理由はない。

私は今から男に変わる。

そうだ、男に変わるんだ！←

立ち上がり、刀を腰に差した。

そして刀を抜き、素振りの練習を始める。

強くならないと…

でもなんだか外が騒がしいな。

ああそうだ。

志々雄がいい事思いついたって言ってたな。

そう思っていると、宗次郎がやってきた。

「Aさん、行きますよ。」

「は？どこに？」

折角始めたところなのに。

「いいから。」

「いい。俺が連れて行く。」

「はい。」

そんな会話が聞こえて、中に入ってきたのは志々雄。

刀を鞘に収めて、志々雄の後へ着いて行く。

外へ行くと、長い机が置いてあり、今からたくさんの人が集まることがわかる。

志々雄がすぐそこの席に座る。

しばらくしてやって来たのは、政府の人たちだった。