るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ30)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:185,072 hit

四什ページ30

何時間経っただろうか。

もしかしたらそんなに時間は経ってないかもしれないけど。

地べたに座るのも疲れて、そこにある椅子に座ろうと立ち上がった。

「うわぁー…腰痛い…」

同じ体勢でいたせいか、腰が痛い。

背中に手を当てて後ろに反って、筋肉を伸ばした。

そして刀を下ろして袴を少し緩めた時、パサっと何かが落ちた。

「ん…あれ？」

下を見ると、綺麗に折りたたんだ紙が落ちていた。

これ……もしかして……

宗次郎からかもしれない…

直感でそう感じた私は急いでその紙を拾い上げ、開いてみた。

『Aへ。

この手紙を読んでるって事は、もう戦いが終わったのかな？

とにかく、Aが無事だってことですね。

僕はそれが何よりも嬉しいです。

もしかしたら僕は、志々雄さん達と戦ってこの世にはいないかもしれませんね。

もしそうだとしても、そうじゃなかったとしても、僕は絶対に貴方のことを忘れたりしない。

だからAも、僕のことを忘れないで。

こんなことを書くと、まるで僕が死んじゃったみたいだけど…

僕の一番の願いは、やっぱりAと二人で平和で幸せな日々を送りたい。

明日が無事に終わりますように。

僕が世界で一番大切なのは貴方です。

愛してます。

宗次郎より。』

筆で丁寧に書かれたその手紙を最後まで読んだ時、さっき閉じ込めた涙がまた溢れ出してきていた。

志々雄と戦う前日に書いたんだ…

それできっと、私の背中を叩いたときにこっそり袴に挟んだのかな……

どんな気持ちで書いたんだろう？

死ぬかもしれないって思って…この頃にはもう、死の覚悟を決めてたんだろうなぁ……

そう思うと、尚更涙が止まらなくて。

宗次郎が愛しくて愛しくて、堪らなくなっていた。

「宗次郎…会いたいよ………」

『Aさんには関係ありません。』

宗次郎はそう言ったけど……
だけど、絶対に心は変わってない…

前の宗次郎みたいに、表情が豊かで、私を大切にしてくれる宗次郎がまだいるはず。

そう呟いたとき、ちょうどいいタイミングで扉の向こうから話し声が微かに聞こえてきた。

話はよく聞こえないけど、この声の高さ。

抑揚のなさ。

間違いなく宗次郎だ。

きっと元に戻る。

そう確信した私は、扉をドンドン叩いて宗次郎を呼んだ。