参什玖 ページ29
出てきたのは、紛れもなく宗次郎で。
宗次郎と目があった時、隠してきた感情が一気に溢れ出した。
でも、声は出しちゃダメなんだ。
唇を噛み締めて、溢れる涙を着物ですくい取った。
宗次郎も、私を見て微笑んでいる。
そのまま私の目を見ながら近づいてくる。
すると、志々雄が私の背中をポンと叩いた。
以外と優しいんだな…
こんなタイミングで合図をくれるなんて…
「宗次郎…っ！会いたかっt」
「まだ殺してなかったんですね、この子。」
私の言葉を遮って宗次郎が言ったことはこの言葉だった。
“まだ殺してなかったんですね、この子”
この子、ってつまり、私のことだよね…？
「ああ。こいつは十本刀だからな。」
もう十本刀なんて、そんなことはどうでもいい。
どうしちゃったの？
いや、きっと何かの間違いだ。
宗次郎が…あの宗次郎が、そんなこと言うはずがない。
そうでしょ…？
だって…
私を強くしてくれた宗次郎が…
着物を貸してくれた宗次郎が…
私を助けてくれた宗次郎が…
私を強く抱き締めてくれた宗次郎が…
そんなこと言うはずないじゃん…
「ねぇ…宗次郎……」
「なんですか？僕はもう役目を果たしました。Aさんには関係ありません。」
Aさん…かぁ…
もう前みたいに呼び捨てにはしてくれないんだ…
「役目……もしかして、志々雄に私を渡すっていう…」
「そうですよ？それ以外に何もありませんからね。」
なんだ…
なんだか、一気に力が抜けた。
そのまま床にへたり込んだ。
「それより、また会えて嬉しいです、志々雄さん。」
そんな私には見向きもせず、横を通り抜けて志々雄の元へと向かう宗次郎。
次から次へと涙が零れ落ちる。
手では拭いきれない。
さっきの涙とは違う、悲しい涙。
言いようのない不安と寂しさ。
それに加えて、恐怖心も湧き上がる。
宗次郎がいなくなった私には、もう味方なんていない。
いつでもそばに居てくれる人は、もういない。
「行くぞ。この女は出番が来るまでここに閉じ込めておけ。」
「はい。」
そう言った宗次郎が、花魁姿の女の人から鍵をもらっていた。
花魁姿の人は志々雄の一歩後ろをついて行く。
その後に宗次郎がついて行った。
扉を閉める宗次郎の横顔には、もう何も感情が込められていなかった。
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サブリナ - ピーってなんですか？ (2016年2月12日 17時) (
レス) id: 35db5af957 (このIDを非表示/違反報告)
青りんご(プロフ) - 平野美樹さん» え、はやわ(笑) (2014年11月23日 9時) (レス) id: 89bfc33715 (このIDを非表示/違反報告)
平野美樹(プロフ) - 青りんごさん» はよー。しーゆー。 (2014年11月23日 9時) (レス) id: 51a3ac247a (このIDを非表示/違反報告)
青りんご(プロフ) - 平野美樹さん» なんじゃそりゃ(笑)どうしただん！？ (2014年11月23日 9時) (レス) id: 89bfc33715 (このIDを非表示/違反報告)
平野美樹(プロフ) - 青りんごさん» どうもしないよ？w疲れたー。 (2014年11月22日 23時) (レス) id: 51a3ac247a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青りんご | 作成日時：2014年9月15日 17時
