るろうに剣心もう一つの伝説《瀬田宗次郎編》《京都大火編》《伝説の最後編》 (ページ1)

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什伍ページ1

僕は半狂乱に陥り、刀を抜いた。

思い切り刀を振って、とにかく心臓と首を狙った。

だけど、どれもかわされてしまって歯が立たない。

「本来のAさんは、そんなものじゃないんだけどなぁ。そろそろ思い出してくださいよ。」

「何を思い出せっていうんだよ！僕に……僕に思い出すほど価値のある過去はない…！」

苦し紛れに嘘をつく。

本当は…知っている。

自分自身で書き換えた過去は、もう思い出す必要がない。

もう僕の過去からも消え去ろうとしている。
それでいい。

だから…もう…これ以上言わないで。

さっきから剣心さんはずっと立ったまま。

…どうして？

折角助けに来たのに、どうして僕は助けてくれないの？

「Aさん、その刀は師範の方を殺して奪った刀ですよ？」

…そうだよ……その通り。

あぁ…僕が壊れそう。

どうする？

もう僕を騙せない。
ねぇそうでしょ？

もう、僕を騙せないでしょ？

書き換えた過去が、解きほぐされて行く。

霧が晴れたように、「あの時」の情景が蘇ってくる。

傷だらけの僕。

叩かれたところがあざになるのも時間の問題だろう。

笑いながら僕を見下ろす友達。

違う。こいつらは友達なんかじゃない。

最初は…いい人達で友達だと思ってた。
でも、所詮僕は利用されてただけ。

裏切られたんだ。

師範はそんな僕を蟻を見るような目で見ている。

死ね………死ね…皆、全員…死ねよ！

僕は木刀を取って思い切り主犯格の頭を割った。

僕の着物が、返り血で赤く染まる。

そして次々に周りにいた人も殺して行く。

最後に、逃げ出そうとしている師範を殺しに行こうとした。

その途中に、僕は真剣を見つけたんだ。
菊一文字則宗。

その刀で師範を斬った。

それから、いつも師範が手入れしていた虎徹を持って逃げた。

流浪人になるしかなかった。

追ってきた警察官に何度も囲まれた。

けど、今まで虐められて来た怒りのお陰で一人で全員殺すことができた。

青い着物にしたのも、返り血が目印にならないために買ったものだ。

…全部思いだした。
この宗次郎は…

きっと、その道場の近くによく来ていたの男だ。

僕が虐められてたのも見ていた。

そうだ。あの時も…「強ければ生き、弱ければ死ぬんです。貴方は死んで当然。」って…教えてくれた。

血が騒ぐ。

僕の過去を完全に消し去るには…こいつを、消さなきゃ…