心をもってかれた ページ18
JD side
なんだか
僕らを
見定めるような
厳しい冷たい空気に
少し怖いと感じたのは
嘘じゃない
でも
スタート位置に
ついた瞬間
彩られた
その世界観
激しいダンスを
踊っているのに
ブレない声
外さない音程
マイクがないのに
響く声量
どれも
僕らからは
程遠いほどの実力で
ダンスが終わっても
息は上がらず
そのまま
演出のような動きで
バラードへ移ったKAISER
合図もなく
流れたメロディ
Bye-By-Bye
離れていく恋人
離れられない心
切ないラブソング
背中合わせのふたりは
まるで
この歌の主人公のように
息をするタイミング
ハモる音程
どれも
ぴったりで
惹きこまれて
心をもってかれた
ペンほどではなかった
ただ尊敬する先輩
それだけだったのに
知らない世界を
魅せてくれた
世界の広さ
技術の高さ
歌に感動するって
初めて
本当にそう思った
最後の音色が
静かに落とされて
我慢していた
涙が溢れて
SM「いやぁー！！！
すごい！流石だっ！感動した！
もう感無量だ！」
MJ「おい、拍手！」
会長とマネの声で
やっと我に返って
拍手をすると
会釈だけが
返ってきて
先程の生き生きとした表情はなく
片付け始めたふたり
BK「やばい、涙止まらないっ」
となりのベクは
感情が溢れ出てセーブできないようで
DO「どうしよう…」
普段
落ち着いているギョンスさえも
凄さに動揺していた
KAISER＜皇帝＞
このふたりには
近づけない
その名の通り
僕らのような凡人は
皇帝である女王様と王様のお側には
近づくことは許されない
そう確信した
テキパキと
片付ける先輩
そこに近づくのは
流石天然レイヒョン
LY「先輩、これ！」
G「ん？あ、ありがと」
ふたつのミネラルウォーター
パキっ
キャップを開けて
G「デルヌナ！」
ぽいっと投げられたペットボトル
デルヌナは
全く見てないない
え？大丈夫？
パシっ！
綺麗にキャッチして
ゴクっゴクっ
半分くらい飲み干して
you「ダル！」
再びぽいっとダルヒョンに返され
それを全て飲み干して
残りのひとつは
G「1本で平気だよ」
レイヒョンへ
入ってきた姿になったふたり
すると
デルヌナは
レイヒョンの頭を優しく撫でて
中国語で声をかけた
そのとき
チクリと胸に痛みを感じた…
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作者名：リン | 作成日時：2015年3月14日 23時
