二つの墓石 ページ48
凪side
私の実家は、かなりの田舎だ。その代わりに、空気や水はとても澄んでいる。川もあり、夏にはそこで子供達が遊ぶ。
私も昔、よく遊んだ記憶がある。
そういえば昔、名も知れぬ子と遊んだ事が、何度かあったなあ。子供の頃は、誰が相手でもすぐ仲良くなったから、たくさんい過ぎて忘れたけど。
『……よし、』
“サマータイムレコード”を流してたイヤホンを耳から取り、気合を入れる。
私の前には、階段がズラッとあった。氷翠はスタンッと軽やかに私の頭から降り、数段登ってから私の事を見た。
『……頑張るかぁ』
私は気の遠くなりそうな階段を見上げ、そう呟いた。
,
そして、到着。
『ハァ、ハァ、ゲホッ＿＿ゴホッ、ハッ、ハァ、』
「すげえ死にそうだな」
うるさいな、と私は言った。
『うる、ッハァ、ゲホッゴホッ、さ、ゴホッゴホッ！』
……私はうるさいな、と言った。確かに言った。
「……凪、取り敢えず息整えろ。後で何言ってたか聞いてやるから」
『よげ、ゲホッ、ハァッ、ハァ、＿＿ゴホッ、おせ、だ、ッハァ、』
「だから全然判んねえよ」
余計なお世話だっつったんだよ！
……だがしかし、悲しいかな、かなりキツいのも事実なので、冷たい石の上に座り込む。ひんやりとした石畳は、とても気持ちいい。
汗が滴り落ちて、石畳に染みを作った。蝉の声が重なりって聞こえた。
『＿＿よ、いしょ』
「大丈夫か」
『ん。結構息、整った』
私は立ち上がり、真っ直ぐにそれを見つめた。
『＿＿一年ぶり。父さん、母さん』
私は目の前に並ぶ二つの墓石に向けて、そう言った。
二人が死んだ時の事は、よく憶えていない。記憶はあやふやだ。でも、一つだけ憶えている事がある。
二人は、私と兄を庇って死んだ。私のせいで、死んだ。
……まぁそれも、もう何年も前の話だ。私は気を引き締める。まずはこの墓石を洗わないと。
『それっ！！』
私は掛け声と共に、二つの墓石に水をぶっかけた。
「おい、まだかよ？」
『今物凄くお前に殺意が沸くよ、抑えられないこの気持ち』
「馬鹿じゃねえの」
『黙れ』
氷翠はなおん、とワザとらしく鳴き、また目を閉じた。あっやばいちょっと絞め殺したくなってくる。
『…………まあ、いいか』
こうやって甘やかしてしまう所が自分の悪い癖だ。
私は氷翠を見て、そういえば、と思い返した。
『お前と初めて会った時って、どこだっけ』
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白夜の世界 - にあさん» いえ！！いや、更新はします！！ですが何分、時間が取れないモノで……基本的に此方の作品は更新がゆっくりというか何というか……原作も持っていないので……でも、更新はしますから！はい！！ (2019年6月16日 16時) (
レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
にあ - 面白いです。もうこちらの作品は更新なされないのですか？(´・ω・｀) (2019年6月16日 14時) (レス) id: 177fcaa1ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界 | 作成日時：2019年2月16日 15時
