登校 ページ2
少女は歩き出した。そしてこける。膝を確認したが、血は出ていなかった。
『……よかった』
一応今回の様な場合の為に絆創膏を持っていたのだが、使われなくてよかった、と少女は考える。
先程少女がバランスを崩した時、既に地面に降りていた猫は、少女に冷ややかな視線を向けた。彼女がバランスを崩したせいで、自分が損害を被った──とでも言いたげな顔だ。
『うっ、ごめん』
その謝罪の言葉で満足したのか、頭に乗せろ、とばかりに少女に猫パンチを繰り出した。全くもって痛くはないのだが、正直うっとうしいので少女は猫を頭に乗せた。
そして曲がり角を曲がったとき、五・六歳の女の子が飛び出してきた。今度は転ばずに、何とか踏みとどまる。
「ぁうっ、ご、ごめんなさ」
少女の顔は整っているのだが、如何せん“クール系の美女”という雰囲気なのだ。更に目つきが少し鋭いため、その視線の先にいる女の子は気弱な表情で謝った。が、少女にそんなつもりは一切ない。
『いや、大丈夫だよ。君こそ怪我は？』
微笑みながら言った少女に、女の子は少し見惚れた。
「あ、だ、大丈夫です！ ……あ、猫さんがいる！」
目をキラキラと輝かせながら言った女の子に、少女は『触るかい？』と聞いた。女の子は元気よく「うんっ！」と声を上げ、猫を撫で始めた。
微笑ましいその姿に、少女が無意識に目を細める。
「美優！？ もう、どこ行ってたの！」
「あ、おかーさん！ このおねーさんが、猫さん触らせてくれたんだ！」
「おねーさん」呼びに満面の笑み。少女の脳内はそこら中に花が咲き誇った。が、そんなことはおくびにも出さず、『いえいえ、大丈夫ですよ』と大人の対応をやってのける。表情筋と脳内が一致していない最たる例だ。
ちなみに普段はこんな風に笑うことは一切ない。というか冷徹過ぎて子供が泣くレベルなので、今日のようなことはとても珍しいと言えた。
『では、私はここで』
猫を再度頭に乗せ、少女は去っていった。女の子はそれを見届けると、「あれっ」と声を上げる。
「おかーさん、おかねみつけたっ！」
「あら、百円玉じゃない。運が良かったわね」
(えへへ、運がよかったのかな！)
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白夜の世界 - にあさん» いえ！！いや、更新はします！！ですが何分、時間が取れないモノで……基本的に此方の作品は更新がゆっくりというか何というか……原作も持っていないので……でも、更新はしますから！はい！！ (2019年6月16日 16時) (
レス) id: d483191461 (このIDを非表示/違反報告)
にあ - 面白いです。もうこちらの作品は更新なされないのですか？(´・ω・｀) (2019年6月16日 14時) (レス) id: 177fcaa1ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界 | 作成日時：2019年2月16日 15時
