お久しぶり ページ47
炎は段々と映画館を飲み込んでいく
『あった 此処が1番脆くなってる』
私は瓦礫が崩れた部分を思い切り蹴飛ばした
吹き飛ばされるように崩れる瓦礫
この隙間なら入れる
私は炎の熱で焼け石のように熱くなった瓦礫を掻い潜って中へと入った
中はもう手遅れと言っても過言ではない程に火が広がっている
いくらなんでも早すぎる
あの魔法陣､何か特別な細工をしていたのだろうか
私は瓦礫を避けながら廊下を進んだ
『···やばいな』
溜息のように漏れ出た言葉
いや､炎は問題にはならない
私は死んだ時､熱に耐性は持っているから大丈夫だ
だけど天井が崩れたら圧死してしまうかもしれない
『ともかく､ジャンヌを探さないと』
煤で汚れた頬を拭いながら呟いた
「いるぞ」
『わぁぁぁぁぁあ?!』
突然､後ろからジャンヌの声が聞こえて思わず大声で叫んでしまった
叫んだ張本人だが､耳がキーンとする
「うるせぇ 耳が死ぬかと思った」
いや､お前耳ないだろ
というツッコミは置いといて
『ま､まぁジャンヌと合流出来たわけだし､前世の私を探すか！』
「そうだな
で､どの辺りでお前が死んだか覚えてるか？」
うーん､1年近く前の事だからなぁ
『確か···裏の方､だったかな···』
「ホントに頼むぞ お前の記憶だけが頼りなんだから」
嫌味げに言うジャンヌ
だけど一応､信頼はしてくれているようだ
「急ぐぞ もう死んじまったかもしれねぇ」
『縁起でもないこと言わないでよ···』
記憶の場所へと向かう私達
私が瓦礫やら倒れた機械を避けて走っているというのに､ジャンヌはスルリスルリとすり抜けて通っていく
こういう時､羨ましいと思ってしまうな
まぁ私も､生前と比べるとかなりハイスペックになっただろう
こんな炎の中にいるのに､暑くないし呼吸も普通にできる
寒さに弱くなった事以外では生前よりずっと良くなった
今の私なら体育の5段階評価完璧だったのでは？
「おい､いたぞ！」
瓦礫の向こうからジャンヌの声がした
『今行く！』
瓦礫をまたもや蹴り飛ばし､通れるようにした
「あっぶねぇ？！こっちには怪我人もいるんだぞ？！」
吹き飛んだ瓦礫の1つがジャンヌをすり抜ける
『だって通れないんだもの それになるべく力は抑えたよ』
私は言い訳をしながらジャンヌの下に横たわる人物を見下ろした
力なく壁にもたれ掛かるように眼を閉じているその人物は､前世の私だった
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千尾(プロフ) - 最初から読みたいんですけどどこに行けばいいでしょうか？ (2021年3月18日 3時) (
レス) id: 0b1187e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
セイ - ありがとうございます！ものすごく励みになるコメントめちゃくちゃ嬉しいです！ (2020年2月8日 1時) (レス) id: bc72cc58ab (このIDを非表示/違反報告)
藍羽 - 頑張ってください！楽しく読ませてもらってます、応援してます。 (2020年2月5日 0時) (レス) id: 779fc880ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セイ | 作成日時：2020年1月26日 2時
