転スラ!!〜異国転生物語〜6

原初の黒 ページ35

真夜中になり､街の皆が酔い潰れ始めた頃

『···そう言えば､話ってなんだったの？』

「あぁ､その事か」

リムルはグラスを机に置き､椅子に座って私に向き直った

「単刀直入に言う お前に「幹部」となってもらいたい」

···「幹部」

ベニマルやシオン､それにリグルドさん達の役職のようなもの

『···具体的に､私はどんな仕事をするの？』

リムルは腕を組み､うーんと考え込むような仕草をした

「そうだな 主に､シュナの手伝いや書類整理､シオンの補佐､って所かな」

シュナの手伝いはともかく···書類整理とか秘書の仕事···

「勿論､給料も出るしシュナの絶品まかない料理を食べれるぞ!!」

ぐっ···私の好みを完全に把握してやがる···

確かに､またとないような素晴らしい申し出だ

だけど···

『···ごめん､ちょっとだけ考えさせて』

「勿論だ じっくりと考えてもらって構わない」

急かす事のない大人の反応

こういう時､私とリムルの間に大きな溝を感じる

『ありがと
···私､そろそろ疲れたから寝るよ おやすみ』

「分かった おやすみ」

私は自分の家に向かって歩き出した

少し後ろを振り返ると､リムルが誰かと話している姿が見えた

『あの人って···昼間の···』

空を飛んでいた黒髪の悪魔だ

リムルと親しげに話している

«···あの悪魔､やっぱりスライム野郎が召喚した奴だろうな»

あー､私達がスリープモードになる前に感じた気配はあの人か

«···今もこんなに近いのに､全く気配を感じさせない
戦場では物凄い妖気(オーラ)を放っていたのに···»

やっぱり､ジャンヌってあの人の事苦手？

«苦手とかそんな比じゃねぇ あれは正しく「格上」だ 恐らく「悪魔公(デーモンロード)」···»

あーはいはい､あの人がヤバいって事は分かったから

«だから､そんな言葉で片付けられるようなもんじゃねぇんだよ!!あのスライム野郎···いつもホイホイ名付けしてるけど､あの悪魔にまで名前を付ける気か···？»

あー､リムルならするだろうね「名付け」

«俺の読みが正しければ､彼奴は「原初の黒(ノワール)」だよ 悪魔の中で最も古参の一柱»

そんな悪魔を召喚するなんて､リムルは本当に化け物だ

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