146葉 ページ8
「さぁ、どうする？」
うわぁ、決まってる……めっちゃカッコイイし！余裕を持つ治に対し、国木田君はギリッと歯噛みをしていた。まぁそうだよね、国木田君達からしたら目的も解除方法も分からない訳だし。←本当に教えてない
「却説、話はここまでだ。起爆されたくなければ───分かるよね？」
「ッチ……」
国木田君は舌打ちをして、両手を上げ下がって行く。よし、一芝居打つか。
『国木田君……ッ』
私は震え、今にも途切れそうな声で告げる。
『私はいいから……爆弾、起爆していい』
「巫山戯るな！そんな事させる訳ないだろう！！」
「うふふ、こんな可愛い子と心中……素敵な響きだねえ」
「えっ……？」
案の定乗った治の言葉に敦君が目を見開く。どうやら爆弾魔の正体を悟った様だ。
「どうした小僧」
「真逆、真逆そんな……！」
───太宰さんなんですか……？
敦君がそう呟き、空気が凍りつく。敦君はショックで凍りつき、国木田君は想定外過ぎる出来事に凍りついた。敦君の背後から全力で「どうする心算だお前ら」と念を送って来る。
「……ふふっ、真逆バレてしまうとは。たかが少年と見縊りすぎたようだ」
「な……っ！太宰、貴様……！」
治が狐面を外し、国木田君が目を見開く。どうやら正体を明らかにした事に驚いているようだね。私もだよ、国木田君……
「な……っ、何でですか太宰さん！」
「何故……か。最もな質問だね」
治が薄く自嘲するように笑う。此処最近は全く浮かべない様な表情を、彼は浮かべていた。
「敦君。君にはこの世界がどのように見える？」
「……？」
「この世界は歪だ。強者が始めから定められ弱者は搾取に抗えず這い上がる事も出来ない、偽善と正義面した人間が正義の刃を振りかざすセカイ──────そんなもの、いっそ壊した方がいいと思わないかい？」
『治……』
「そんな……！」
そう語る治の目には光が見えず、唯、世界の深淵を見詰めるかのような闇が宿っていた。私でさえ本当にこれは演技なのかと疑うような、深い闇。
敦君は絶望的な顔で治を見ている。さ、こっからどうするのかな…？
「太宰さん、それは本心なんですか……？」
「そうだよ。結局、誰も分かってくれなかったけれど」
「そんなの、おかしいです……」
「おかしくないよ。それが私の考え方だというだけだ」
敦君、治のことを降参させられるのかな……？
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作者名：朱菜＠�� | 作成日時：2019年8月9日 2時
