【文スト】境界の栞 Ⅳ【太宰治】 (ページ33)

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161葉ページ33

《二時間半後》
『出来たよー、開けていい？』

「あ、はい！」

「おい、入るぞ」

扉を開け外に出る。私の姿を見た志賀君は持っていた書類をばっさぁと盛大に落とし、ジャストすぎるタイミングで入ってきた中也は固まった。

『あ、中也……オレだよオレ』

「……またやってんのか手前、一瞬判んなかったわ」

「また！？またって何ですか！？そもそもこの人本当にAさんなんですか！？どうみてもただのイケメンなんですけど！？」

そう、私がしているのは男装───早いが話コスプレに近いものだ。それよりも三次元寄りのメイクにしているがまあコスはコスだ。
因みにイメージとしては某文豪ゲーの某偉大なる落伍者でいいよ！てかそれに意図して寄せているよ！我ながらそっくりだと思うよ！
えっ前回？治への当てこすりかの如く秋刀魚嫌いな師匠やりましたけど？

『……驚いた？』

「当たり前ですよ！」

「二回目だかんなァ……知ってるか？今でも手前の男装姿ポートマフィアの七不思議に数えられてんぞ。唐突に現れる謎の男……ってな」

『ポートマフィアの七不思議！？何それ初耳なんだけど！？』

「でも見た目マフィアには思えないですけどね……」

『それでいいんだよ。要するに目を付けられなければいいんだから』

「男装するってことは声も寄せるんですか？」

『俺は偉大なる落伍者になる男だ！(CV:杉○智和)』

「似すぎだろどんだけ司書やりこんでたんだよ」

『いえ実はペーペー司書で……ってかメタ発言！』

取り敢えず〈全てを識る者〉に不可能はない！

『まあこれなら流石にバレないだろ』

「取り敢えずその男声(CV杉○智和)何とかしろ」

『だからメタ発言！……気を取り直して行こうか、ちゃんと歩いて行った方がいいと思うし』

「了解しました」

『じゃあ行くか(CV:杉t(ry』

本部を出ればギョッとした目で見られるが、志賀君がいたからか、それともポートマフィアの七不思議として浸透しているのか……銃を向けられることは無かった。
因みに志賀君もマフィアとは判りづらい格好をしてもらっている。

『取引の内容は？』

「傘下企業と武器の取引です。欧米で製造された短機関銃の密輸で───」

右手を上げて志賀君の声を制す。視線の先には、白髪の青年───敦君だ。真っ直ぐ此方に向かって来る以上、逃げようが無い。

『……黙って歩くぞ』

「はい」

接近し、擦れ違い───ハッと此方を見た。バレている……！