【文スト】境界の栞 Ⅳ【太宰治】 (ページ3)

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141葉ページ3

「……おい太宰。蟹の話はいいとして、会議はどうしたのだ。先刻お前達は“会議室に皆を呼んである”と云っていなかったか？見たところ与謝野女医の他に、姿を見せそうな気配もないが」

「うーん。声はかけておいたのだけど、うちの調査員は基本自分本位(マイペース)だからなあ。集合にはもう少し掛かるかもね」

社員皆個性の塊だもんね……よく形になってるよね……。

「皆も、お前のような自分本位の国の皇太子には云われたくは無いだろうが」

『うん、それについては同意』

「全くだ。会議と云うが、具体的にはどういう議事進行をするのか決まっているのか？」

「はいはい。議事進行の国の宰相たる国木田君に文句を云われないよう、Aにちゃんと計画を立てて貰ったよ」

私は立ち上がるとホワイトボードに歩み寄りペンを取り出す。

『一つ目、各自で提案を出し合う。二つ目、出た案の中から一つに絞る。最後、担当の割り振り。こんなもんかな』

「おい、結局月影に押し付けているではないか！！」

その言葉にきょとんと私と治が顔を見合わせる。

「押し付けて、って云っても……」

『昔からこういうやり方だったからなぁ』

私は治の補佐で、必然的に資料作成とかは私に回ってくるんだよね。それを使って、治が会議で案を出す。今回も自然とそうなったし異議は無い。

『ま、文句無いからいいでしょ？我ながら計画的だと思うし』

「計画的な事は認めるが、そうなったらそうなったで厭な予感がするな。みっつめの“担当の割り振り”が特に怪しい。お前の事だ。自分には絶対に役職が回ってこないよう、事前に計略をめぐらせているのだろう。違うか？」

「厭だなあ、私のような真面目人間が、そんな汚いことする訳ないよ、国木田君はは同僚であるこの私を信じられないと云うのかい？」

「信じられん」

「信じられませんね……」

「気持ちがいい程信じられないねェ」

「太宰ならやりそうだな」

『うん、そう云うのはサボりそう』

「皆酷い！」

治が嬉しそうに飛び上がる。……うん？嬉しそうに、だと……？

『ま、一つ目だけでも始めますか。じゃ、提案ある人～』

「「「……。」」」

うん、だよね。クラスでの学級会とかでよくあるやつ！シーンってなって司会が困るやつ！