【文スト】境界の栞 Ⅳ【太宰治】 (ページ12)

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150葉ページ12

「だから本当は浪人か無宿人の類なのだろう？」

「違うよ。私はこの件で嘘など吐かない。ね」

『じゃあネクストAさん'sヒント。労働環境はともかく、払いはそこ無茶苦茶良かったよ？……まぁ織田作については私も知らないんだけど』

「子供たちを養える程度には出ていたぞ」

へー、末端まで払い良いんだ……それは初耳だった。

「……？なら何で辞めたんですか？」

「心境の変化、かな」

『まぁ色々あって上司と仲悪くなってね』

色々に全てが詰まってる訳だけどね！

「なら、織田さんの前々職って……？」

「国木田の言葉を借りるならば斬った貼ったの仕事、か」

「え、荒事やッてたンですか！？」

「一応な。完全フリーだったが……社長と乱歩さんは知っている」

珈琲を口にしながらそう云う織田作。うん、此処まで情報出しても無理臭いわ……

「違うよ。この件では私は嘘など吐かない。……うふふ、降参かな？じゃ此処の払いは宜しく」

『お、ゴチです！』

もうちょい何か食べとけばよかったとか思っていると、谷崎君の携帯に着信が入る。

「ハイ。……え、依頼ですか？」

《武装探偵社事務室》
「何と睡蓮の花のごとき果敢なくそして可憐なお嬢さんだ」

「へっ！？」

……一寸遅れて上がったら、治がナンパをしていました。

「どうか私と心中していただけないだろ───」

『っでえいっ！！』

「ぐふぅっ」

そこら辺にあったスリッパを使って全力で引っ叩くと、スパァァァンッと豪快な音と共に治が吹っ飛ぶ。

『あ、気にしないで下さい。続きどうぞ』

「は、はい……」

私は治を回収すると奥の部屋に引きずり込んだ。

「酷いなぁ」

『もっとやり方あったでしょっ！』

「妬いたの？」

『……妬いたに決まってるじゃん莫迦』

だってさあ、もっと上手くやってくれると思うじゃん……？
(実はこの反応を見たかった太宰に嵌められただけなのだが、それに本人は気がついていないのである)

「ふふ、御免ね。それで、Aも同意見ってことかな？」

『うん。マフィアだね』

原作知識だけど、まぁしょうがない。

『私は敦君達について行くから、何かあったら宜しく』

「分かったよ。くれぐれも無茶はしないでね」

芥川君位なら大丈夫だ、結界で何とかなる。ドアを開け事務室に戻ると、既に話し合いは終わっていた様だ。