【文スト】境界の栞 Ⅱ【太宰治】 (ページ28)

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76葉ページ28

その後仕事があるとかで安吾と別れ、私達三人はとある居酒屋へと向かっていた。

「内務省の重鎮がこんな安酒場で独り手酌とは……寂しい限りですねえ、種田長官」

『三人相席、いいですかね？』

三人でしれっと押しかけて座る。突然の乱入に驚いた様子だった。

「君たち二人の顔は報告書でよく見たなあ。要注意監視リストの常連だ。それに君は＿＿＿」

『友人で“同業者”です』

「織田作之助です」

「どうやって此処を特定した？」

『ふふ……大抵の事は調べれば判りますから。それより、要件は把握されてるんですよね？』

「真逆出向いてくるとは思わなかったけどなぁ」

「転職先を探していましてね。どこかお勧めはありませんかね？」

「君達の経歴は汚れ過ぎとる。2年程地下に潜る必要が有るぞ」

『ええ、判ってます』

逆に二年で全部洗い落とせるんだなーって思ってるよ……数え切れない程犯罪犯したはずなんだけど。

「聞きたいことは山ほどあるが……」

『特務課は勘弁して下さい。三重間諜とか胃に穴開きますし』

「……では何が希望だ？」

その言葉に、私と治、織田作は顔を見合わせてから口を揃えて云った。

『「「人助けのできる所」」』

「……心当たりが無い訳でもない」

「是非教えてくれませんか？」

「異能力者を集めた武装組織だ。
軍警や市警に頼れぬ、灰色の厄介事を引き受け解決する。そこの社長は心ある男でな。君達の希望に添うかもしれん」

「その組織の名前は？」

「名か？その会社の名はな───武装探偵社だ」

長官の喋り難しいっす……。