【文スト】境界の栞 Ⅱ【太宰治】 (ページ15)

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63葉ページ15

『ま、行くか行かないかは織田作次第だよ。残りたいのなら残ればいいし、無理にとは言わない。同じ様な流れにならない様に手も回しとくし』

「如何する？織田作」

「……お前達なら判っているんじゃないのか？」

『まあね』

笑ってそう答えると、織田作は断言した。

「俺も行く。……だが問題は、フリイダムの親爺さんと子供達だな」

「その件に関しては僕がやっておきましょう。それが、せめてもの償いになるのなら……」

「もうそれ以上はよせ安吾。気にするな」

『そうだよ。本質的に考えると全ての黒幕は首領な訳だしさ……こればっかりはどうしようもないからね』

「ま、いいんじゃないの？」

「……ありがとう、ございます」

『ほらほらそんな泣きそうな顔しないでよ、凄腕エージェントなんでしょ安吾って』

「ハードル上げないで下さい！そもそも何故それを知ってるんですか！」

『うふふ、秘密。で、その他の条件は？』

「……二つ目は一ヶ月に一度の報告書提出です。Aさんは政府の異能者リスト上で特A級危険異能者扱いですから……まめに行動の報告をお願いします」

特A級能力者。真逆そんなぶっ飛びリストに入れられているとは思いもしていなかったので、思わずぎょっとしてしまった。

『……解った。ミミック事件に蹴りをつけて一段落着き次第出ようかと思ってるけど……それでいい？』

「いいよ。特段やる事もないし」

「嗚呼。大丈夫だ」

「子供たちについては、恐らく暫くは政府の管理する避難シェルターでの生活をお願いするかと思います」

「嗚呼、伝えておく」

これで本格的にマフィア脱退が決まった。後はミミックをどうにかすれば全てが終わる筈だ。

『因みにさ、特A級危険異能者ってどういう括りなの？』

「特務課には要注意監視リストと危険異能力者リストという二つのリストがあるのは知っていますか？」

『うん、前者は知ってる』

「太宰君とAさんはそこの常連なのですが……一方の危険異能者リストは文字通り、危険異能者をリストアップしたものです。特A級はその中でもトップクラスの危険さを持つ異能力者に付けられるランクですね」

「嗚呼……二つ持ちだから、かな？」

「ええ。加えて二つの異能を個々に見ても、それぞれがA級に値する危険度を誇っていますから……決定するまでは歴代最速でした」

『おっふ』

どうやら私、政府からとんでもない目で見られてたらしい。今更ではあるけど。